研究課題/領域番号 |
21K00089
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 仏教儀礼 / 法会 / 次第 / 仏教思想史 |
研究実績の概要 |
本研究課題は日本の顕密寺院に残る聖教類より、日本中世に行われていた法会の具体的な姿を復元し、そこから仏教の歴史と思想に関する変遷や特質、当時の寺院社会の実態を解明しようとするものである。さらに、文献史料から復元される法会の姿と、現在、実際に行われている法会とを比較検討しながら、中世に行われた法会の姿を復元・考察する点が特徴のひとつである。 2021年度は新型コロナウイルス感染症流行のため、寺院をはじめ史料所蔵諸機関での現物調査や、寺院等で実際に行われる法会を聴聞することが制限され、十分な調査を行うことができなかった。そのため、これまで撮りためた写真や活字史料を利用して、法会次第の復元的研究を進めた。特に、勧請作法・神分作法の分析に力点を置き、法会の会場に勧請される護法神が時代とともにどのように変遷するのかを考察した。結果、10世紀中葉、天慶の乱後に全国で作成された諸国神名帳や、十六社(王城鎮守)の成立が、法会の場に勧請される神々の様相を大きく変えたことが分かった。その転換を踏まえて、11・12世紀における具体的な変化の諸相に関する検討を進めた。また、鎌倉期以降の変遷についても分析を進めつつあり、具体的な成果も形になりつつある。 さらに、法会の全体像や時代的変遷を把握する上で、現物や写真を確認すべき史料について聖教目録等を利用してリストアップした。それに従い、2022年度以降、調査を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行の影響をうけ、史料所蔵機関での現物調査や、実際の法会を聴聞して調査することが十分に実施できなかった。そのため、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はできる限り現物史料を用いて、法会の復元的研究を進めたいと考える。同時に、実際に行われている法会を聴聞することで、文献史料のみからは分からない法会の姿を復元することを目指している。今年度も、新型コロナウイルス感染症流行の影響が残るが、当初の計画を達成すべく、文献史料や実際の法会そのものに即した研究を進めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症流行の影響により実施できなかった諸調査を2022年度以降、着実に実施したいと考える。
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