研究課題/領域番号 |
21K00101
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
長尾 寛子 中部大学, 現代教育学部, 教授 (70379866)
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研究分担者 |
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (30207980)
隠岐 さや香 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60536879)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 美術史 / 近代思想史 / 近代科学史 / 絵画 / 時空間表現 / 視覚体験 |
研究実績の概要 |
本研究では西洋近代絵画が与える視覚体験の本来の知的枠組みを明らかにすることを目的としている。このうち本年度では近代西洋絵画と東洋絵画との実証的な比較を通じて、以下の点について空間意識の異同を明らかにした。 1中世日本と中国では南北朝、唐朝の絵画を受け継いだが、時空間表現の点で対照的な展開を見せた。中国では北宋において、写実を突き詰めることで自然の真実を表現するという唐代の美学に基づき、徹底的な写実が追及され、その結果として、近代西洋絵画の窓から見た風景とは対照的な、その中で人間が生きる空間を表現する時空間表現の技術が完成した。日本では詩歌と結びついてnarrative paintingが発達し、絵巻物の形で時間表現の方法が追及された。以上の違いは宋元絵画が輸入されることで大和絵と漢画という中世日本美術における二つのスタイルを生んだが、この二者は時空間表現の相違に基づくデッサンが異なる点で絵画様式としても区別でき、その相互関係が以後の中世日本絵画の展開の基礎となっていった。 2近代西洋画の時空間表現に対して東洋的な表現の近代的再構成を行った竹内栖鳳などの先駆者を受け継ぎ、京都の日本画壇では同時代西洋での新しい展開を吸収しつつ、引き続き時空間表現の探求が行われた。 3現代のアカデミックな洋画における表現方法では、近代西洋絵画における空間表現の伝統が引き続き生かされており、伝統的なバロック絵画以来の明暗法が引き続き意図的に使用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が予定していた在外実地調査については、本務校で副学部長を務めたために、業務多忙であり出張が果たせなかったが、それ以外の研究については代表者、分担者それぞれが順調に進行させている。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進行しているので、代表者、分担者がそれぞれの担当課題の解明を進めつつ、随時全体会議を行って全体総括を開始していく。2024年度は、可能であれば延期していた在外調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が副学部長を務め本務校の業務多忙となり、予定していた海外実地調査が行えなかったため、次年度に繰越し、海外出張旅費に充てる。
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