研究課題/領域番号 |
21K00121
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 演劇雑誌 / 歌舞伎映画 / 演劇写真 |
研究実績の概要 |
2021年度は、①新派演劇をめぐる音声と映像記録の調査確認と、その成果公表、②近松半二作品をめぐる上演実態の調査確認(2022年度に成果公表)、③林又一郎コレクションの整理と、成果公表に向けた調査、を中心に研究を進めた。 ①の新派演劇については、演劇博物館で開催した展覧会「新派 Shimpa:アヴァンギャルド演劇の水脈」に関わり、音声資料等の選定を行うとともに、図録に考察を寄稿したほか、演劇博物館と新派の関わりについて調査を行った。 ②については、2022年度に開催予定の展覧会「近松半二:奇才の浄瑠璃作者」に向けて、図録に寄稿するとともに、図録掲載の座談会等のための調査を行った。また、歌舞伎・文楽における近松半二作の上演実態についての調査と、それらの映像音声資料の残存状況について調査を行った。 ③については、2022年度に開催予定の国立映画アーカイブ企画「発掘された映画2022」で上映予定の、林又一郎旧蔵フィルム(仮称)からの上映作品の選定と、その実況解説のための調査を行った。とりわけ、「初代中村鴈治郎葬儀の記録」は情報量が多く、調査対象が1930年代の大阪の政財界、文壇、画壇、劇壇すべてにわたる上に、大阪特有の葬儀の事情等にまでおよぶ貴重な映像であることが判明した。 このほか、映像資料、画像資料、演劇雑誌の整理調査を進めるとともに、最も中心的な演劇雑誌である「演劇界」の休刊という事態に逢着したので、この周辺の事情について知見を深めるとともに、その存続についていくばくかの協力をなしつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新出資料をめぐる調査研究にも加わることができているが、一方で、海外への渡航機会は失われたままなので、海外の機関での所蔵その他についての調査は進められていない。 これらの点を総合して、「おおむね順調」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
秋ごろには、海外からの発表者を迎えての国際学会の復活も計画されており、そこに向けた研究発表等も予定している。海外の機関との連携は、メール等で行える範囲のことを行っており、いずれ行き来が再開された折のために準備している段階である。 国立映画アーカイブでの上映も、一部に留まるため、残る映像の公開を、対面での学会開催が再開される秋以降に検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料複写の業務依頼等にあたって、細かな詰めの計算をする段階で緊急事態宣言の発出をうけたため、次年度に計画を移行したことによる。2022年度以降の計画については、変更することなく、そのまま依頼を継続することで消費できる目算がたっている。
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