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2021 年度 実施状況報告書

自由視点3Dアニメーションによる、石井鶴三作「島崎藤村先生木彫像」の制作工程再現

研究課題

研究課題/領域番号 21K00124
研究機関北海道教育大学

研究代表者

福江 良純  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30710751)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード石井鶴三 / 近代彫刻 / 木彫 / 木取り / 島崎藤村 / 教育 / 木曽教育会 / 造形理論
研究実績の概要

当該年度において、彫刻家石井鶴三の木彫代表作「島崎藤村先生像」制作事業に残された、制作関連史料の内、木彫第1作関係の木片について、一定のまとまった成果を得た。年度当初において、木片の空間配置関係を特定するため、3D形状データを3Dプリンタで原寸出力し、前木片(40個)のくみ上げに成功。この3Dモデルを手掛かりに、3Dbuilder(3MF形式)を用い、木片データをコンピューター内で組み上げ、木彫第1作形状データとの整合性も確認できた。作品及び木片の関係性の全体像を掴むことができた9月、木曽教育会、木曽町教育委員会の関係者に参集いただき、これまでの研究成果の報告会を開いた。
当該年度の後半においては、組み上げた木片データの相互の位置関係を調整し、その精度を上げていくことができた。これにより、実際の木片にはその切り落とし順を石井鶴三の記録に従って正確に再現する環境が整った。木片一つ一つに、その順序と部位に従った記号番号が新たに割り振られ、それをレイヤー機能のあるソフト(Brender)において一つのデータとして保存された。それにより、アニメーション化に向けたデータ環境の構築も達成している。また、これと並行し、年度末頃より、木彫第2作関係の木片データ出力も行っている。
その他、本研究に係る成果として、関連学会の国際大会(IGGG2022)にエントリーを行った。国内の刊行物として、信州大学付属図書館第11号に論考「石井鶴三研究の奥行と不思議な縁―島崎藤村木彫像(第1作)木片に関わる、ある判明した事実―」を掲載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究が扱う対象は、2つの木彫とそれぞれに残された木片(約130個)である。全木片の約3分の1が第1作関係のものである。当初より、研究計画の初年度において、第1作関係の検証を十分に行い、最終成果物である木彫制作工程再現のアニメーションシステム構築の基本的環境を整えることであった。その研究計画の中で、ここまでの展開は順調かつ経費支出においても効率的な進展と言える。何より、調査対象の木片の位置と切り落とし順がほぼ完全に特定できたことは、進捗状況の順調さを超える大きな成果となっている。

今後の研究の推進方策

令和3年度に達成した成果を基に、今年度は、最終成果物に直結するアニメーションシステム構築に着手する。具体的な手順として、アニメーション化において視覚化が期待できる造形の論理について、その視覚化のための基本条件を整理する。それに従って、CGアニメーションが作成され、その検証を行いつつ、アニメーションも含めた藤村像のデジタルアーカイブの構想も描きだしていく。この第1作上で試みられる検証プロセスを藤村像第2作にも適用し、年度の終盤においては、第1作と第2作の進展状況を揃え、最終年度の最終成果物構築に向けたデータ環境を準備する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度において、支出を計上していた業務委託及び発注経費について研究代表者自らがその大部分を行ったため。また、調査や研究打ち合わせについても、コロナの状況に鑑み、回数を少なく実施したため。
次年度使用額については、最終成果物(彫刻3Dデータのアーカイブ)のデータ編集業務の委託経費、その完成度や文化資源化を念頭に置いたアーカイブ各種美術館博物館施設へのリサーチ出張などに割り振りたい考えである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 石井鶴三研究の奥行と不思議な縁 ―島崎藤村木彫像(第1作)木片に関わる、ある判明した事実―2022

    • 著者名/発表者名
      福江良純
    • 雑誌名

      信州大学付属図書館研究

      巻: 第十一号 ページ: 1-12

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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