研究課題/領域番号 |
21K00145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安嶋 紀昭 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (40175865)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 園城寺 / 三井寺 / 五部心観 / 善無畏 / 光画像計測法 / 台密 / 絵画 / 円珍 |
研究成果の概要 |
園城寺国宝五部心観について完本の表現・技法を具に観察した結果、前半(第二曼荼羅まで)と後半で4人ずつ2組、計8人の画師に分別できることがわかった。しかも彼らの実力は全員が一定レベル以上にあり、その線質は空海請来真言五祖像に通じる特徴を有することから、完本こそ円珍請来本であり、唐代宮廷画師集団によって制作された可能性が極めて高い。 一方、前欠本の画師は4人に分類できる。うち最も画技に通じる主任格の線質は、応徳三年(1086)「応徳涅槃図」と、大治二年(1127)東寺旧蔵十二天画像との間に置ける。しかも、唯一第四曼荼羅金剛鉤の線質と癖とは特殊で、高山寺の鳥獣戯画甲巻を彷彿とさせることが判明した。
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自由記述の分野 |
美術史学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
園城寺の国宝紙本墨画五部心観には、周知のとおり首尾一貫した完本と、巻頭から約三分の一を欠失した前欠本との二巻がある。しかし、秘仏であるが故にこれまで詳細な調査は不可能で、いずれが大中九年(855)書写の円珍請来本なのかも長い間学説が分かれ、当然、写本の制作年代についても確定できずにいた。 本研究はこの秘仏両本について初めて、顕微写真や赤外線写真といった光画像計測法をも応用した実査を施し、客観的かつ実証的に絵画史上に正しく位置付けたばかりか、図像学的考察によって従来不明の善無畏流金剛界曼荼羅の復元に至り、その成果の一部を国内は勿論、パリ大学主催の招待講演において国際的にも知らしめた。
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