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2023 年度 実施状況報告書

明治末期から戦中期までの映画に描かれた/描かれなかった天皇・皇族の表象

研究課題

研究課題/領域番号 21K00149
研究機関玉川大学

研究代表者

紙屋 牧子  玉川大学, 芸術学部, 非常勤講師 (20571087)

研究分担者 大傍 正規  独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40580452)
高木 博志  京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード映画 / 映像文化 / 視覚文化 / メディア / 表象 / 検閲 / 天皇・皇族・皇室 / 天皇制
研究実績の概要

本年度は、国内のアーカイブにおけるフィルム及び文献資料の調査・分析を重点的に進めつつ、これまでの研究交流によって得た人脈を活用して海外のアーカイブのコレクションの所蔵調査を電子メール等によって実施し一定の成果を得た。また紙屋牧子は、京都大学人文科学研究所の共同研究班「近代日本の宗教と文化」(班長:高木博志)の班員に加わり、第13回研究班(2023年6月)において報告をおこなった他、定期的かつ領域横断的な研究交流に参加することによって、今後の研究課題に繋がる問題関心を得た。
成果公開としては、紙屋が、明治大正期の日本映画に反映された帝国主義的発想とそのイメージについて検討した論文を執筆し、学会誌『映像学』110巻(2024年8月)に掲載された。紙屋はまた、大正期の日本映画と宗教の関係についても検討し、2023年11月に開催された「映画とシンポジウム:甦る、琵琶映画の響き」(於早稲田大学)において、「映画『日蓮上人 龍乃口法難』(1920年)を考察する ──聖地巡礼と〈奇跡〉の表象──」というテーマで口頭発表をおこなった。さらに、紙屋と高木博志が、人文研アカデミー2023シンポジウム「近現代天皇制を考える学術集会──「建国記念の日」」(2024年2月11日/於京都大学)に登壇し、紙屋が「昭和天皇の外遊(1921年)をめぐるイメージ・ポリティクス」というテーマで、高木は「天皇制と陵墓問題――世界遺産名称「仁徳天皇陵古墳」を問う」というテーマで講演をおこなった。大傍正規は、日本映像学会第49回大会(2023年6月/於明治学院大学)において、「南極探検記録映画の複数バージョンー1930・1950年版の同定研究」というテーマで、近代国家形成期に撮られた『日本南極探検』(1912)のフィルムが辿った経緯をフィルムアーキビストの立場から明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画のうち予定通りに実施できなかったものもあるが、有意義な研究交流によって今後の研究課題に繋がる問題関心を得、また査読付論文の公開や講演など、一定程度の研究成果の公開を果たした為、「やや遅れている」程度と判断し得る。

今後の研究の推進方策

国内外のアーカイブにおけるフィルム及び資料の調査・分析をさらに進め、学会発表・論文執筆をおこなう。そのうえで、継続的・発展的な研究を目指す。

次年度使用額が生じた理由

本研究の前提となる研究(基盤研究(C)/18K01099)が新型コロナウイルス感染症流行の状況下で、計画を変更し又期間を延長せざるを得なかったことで、連続性を持った本研究のスケジュールにも影響が生じた。2024年度に繰り越した予算は、国内出張費(研究会への参加・資料調査)および資料購入費として支出する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 相克と空洞──中島貞夫監督『日本暗殺秘録』(一九六九年)を読み直す2023

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 雑誌名

      ユリイカ

      巻: 55 ページ: 133-140

  • [雑誌論文] 明治末期から大正初期の大衆文化におけるサディスム/マゾヒズムの間テクスト的考察──『五郎正宗孝子伝』(1915年)を起点として2023

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 雑誌名

      映像学

      巻: 110 ページ: 59-82

    • DOI

      10.18917/eizogaku.110.0_59

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 昭和天皇の外遊(1921年)をめぐるイメージ・ポリティクス2024

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 学会等名
      人文研アカデミー2023シンポジウム「近現代天皇制を考える学術集会──「建国記念の日」」
  • [学会発表] 天皇制と陵墓問題――世界遺産名称「仁徳天皇陵古墳」を問う2024

    • 著者名/発表者名
      高木博志
    • 学会等名
      人文研アカデミー2023シンポジウム「近現代天皇制を考える学術集会──「建国記念の日」」
  • [学会発表] 映画『日蓮上人 龍乃口法難』(1920年)を考察する ──聖地巡礼と〈奇跡〉の表象──2023

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 学会等名
      映画とシンポジウム:甦る、琵琶映画の響き
  • [学会発表] 明治大正期の日本映画と皇室のイメージ戦略2023

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 学会等名
      第13回「近代日本の宗教と文化」研究班
  • [学会発表] 1948年の「労働(/)運動」映画──『幽霊暁に死す』と『明日は日本晴れ』2023

    • 著者名/発表者名
      紙屋牧子
    • 学会等名
      表象文化論学会第17回大会
  • [学会発表] 南極探検記録映画の複数バージョンー1930・1950年版の同定研究2023

    • 著者名/発表者名
      大傍正規
    • 学会等名
      日本映像学会第49回大会
  • [図書] 近代天皇制と伝統文化 その再構築と創造2024

    • 著者名/発表者名
      高木博志
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000616355
  • [図書] 近代京都と文化:「伝統」の再構築2023

    • 著者名/発表者名
      高木博志(編)
    • 総ページ数
      688
    • 出版者
      思文閣
    • ISBN
      978-4-7842-2064-9

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公開日: 2024-12-25  

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