研究課題/領域番号 |
21K00150
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
水野 僚子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (30469209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女性像 / ジェンダー / 日本絵画 / 絵巻 / 物語 / 在外美術 / 日本美術 / 物語絵画 |
研究実績の概要 |
本年度は4月から9月までアメリカのHarvard大学に、10月から3月はドイツのHeidelberg大学に客員研究員として在籍し、研究を行った。 Harvardでは美術史研究者や仏教文学の専門家に、具体的なアドバイスを受けることができた。また新出の絵巻に登場する不思議な図像について、イメージソースを仏教の経典以外の資料から新たに発見できたことは、大きな成果であった。図像の意味や機能に関しては、まだ検討中であるが、明らかになり次第、論文で作品を紹介する予定である。 欧米に滞在中には、アメリカではボストンを拠点に、Harvard大学美術館、メトロポリタン美術館・NYPL・カンザス大学スペンサー美術館、ネルソンアトキンス美術館、サンフランシスコアジア美術館、シアトル美術館、シカゴ美術館等、一方、ヨーロッパでは、ドイツを起点に、フランスのギメ美術館、国立図書館、イギリス大英博物館、大英図書館、スイスのリートベルク美術館、ベネツィア東洋美術館、ベルリン国立東洋美術館、ケルン東洋美術館などで、絵巻や御伽草子、掛幅縁起、画帖、屏風など様々な形態の物語絵画の調査を実施することができた。調査の途中で私の研究に関心を寄せてくれた学芸員が、新たな作品を出庫し調査させてくださったことは、本当に貴重な機会であり、今後の研究の励みにもなった。海外には、「女性像」を切り口とした研究に関心を示してくれる研究者が多く存在し、海外での人脈や交流の範囲が広がったことは、今後の研究に大きな影響を及ぼすであろう。現在、新たに国際学会でのパネル発表を目指して、数人の仲間と準備をしており、一方、英語で論文を発表することの重要性を実感したことから、来年度は海外のジャーナルに英語の論文を発表することを具体的に考え準備をしている。なお、国内の作品については、次年度に積極的に行うためにリスト作りを始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在外日本美術の調査は今年度かなり力を入れ、日数もかけて行ったため充実したが、国内の作品調査がコロナ禍のため、ほとんどできていない。昨年に比べたらかなり挽回したものの、国内の調査を充実されることで、次年度は計画していたところまで、調査研究を進展させたい。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに当初国内の作品調査を行う予定であったが、コロナ禍のためほとんどできなかった。来年度は、それを挽回すべく、積極的に国内の作品調査に取り組み、後れを取り戻したい。 特に在外の作品についてはかなり調査が進んだことから、それらとの比較を随時行いながら、計画的に調査を行いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度において国内調査の予定がすべてコロナ禍により、中止になり、旅費はくりこしになっていること。また今年度は海外にいたため、アルバイトが使えず、その分の経費が繰り越しになっている。 今後は、資料整理とデータベースの構築のために補助要員としてアルバイトを雇用することと、国内の作品調査の旅費および調査に使用する備品・消耗品として使用したい。
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