研究課題/領域番号 |
21K00150
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
水野 僚子 日本女子大学, 国際文化学部, 准教授 (30469209)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 女性像 / 物語絵画 / 死 / 病 / 仏教 / 身体 / 絵巻 / まなざし |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度実施した海外での調査で得られた写真資料や資料を整理し、女性像のデータベースを充実させること、同主題や類似の物語絵画(特に御伽草子類)の国内所蔵調査を行い、調査の申請を行った。本来なら調査を実施したかったが、新学部の開設年度と重なり本務の仕事量が想像以上に増加したため出張が叶わず、スケジュールの調整ができず、作品調査がほとんど実施できなかった。来年は最終年度ではあるが、調査は継続して行っていきたい。そのような中、九州地方での調査に限っては、年度末にまとめて実施できた意義は大きかった。佐賀県立博物館、九州国立博物館、福岡市美術館において、重要な中世絵画(病草紙)や九相図等の宗教絵画に登場する「負のイメージ」の女性像の熟覧により、図版の調査では不十分であった細部表現や資料を見いだすことができたことは重要であった。 一方、前年度の成果でもある、欧米の研究者との交流が、研究会やシンポジウムへの参加によって継続でき、研究の方向性や新たな視点をアップデートすることができたことも重要である。ただし、昨年から準備を続けてきた国際美術史学会でのパネル発表(欧米の研究者とパネルを組んだ)が、直前にトラブルにより実現できなかったことは非常に残念であった。ただし、西洋美術史の研究者との共同研究に参加したことで、台湾・シンガポール等アジアの研究者と交流ができたことは大きな成果であった。視野が広がっただだけでなく、研究の一部を台湾の美術館のジャーナルに英文で発表する機会も得た。これまで、アジアの研究者と接点が少なかったが、このような機会に恵まれたことの意義は大きく、今後の研究に非常に役にたつものであると考える。 研究計画としては遅れていることが否めないが、最終年の来年度はより一層、調査などのフィールドワークを進めるとともにまとめの作業を行いたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までのコロナ禍の影響に加え、所属大学の大規模組織改変により、自身の学科が改変で学部化され、本務の業務が予想以上に増えたため。 夏季休暇中も、業務で常に多忙であり、遠方への調査を行うためには連続した休みが必要であったが、それが取得できなかったため。 また、体調をくずしてしまったことも、調査研究にうちこめなかったことの要因である。
|
今後の研究の推進方策 |
大学の本務を効率的に実施したり、有給をとることにより、まずは調査研究の時間を捻出することに努力したい。本年度は最終年度となることから、できる限り遅れを取り戻すよう努力するとともに、計画をより一層綿密にたて、研究を遂行するよう努力したい。 今年度は、研究全体をまとめる作業も必要であることから、アルバイトなど、研究補助者の協力を得ながら、効率よく、計画的に研究を遂行したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
アルバイトを雇用し、資料整理などの業務業務を進める予定であったが、自分自身が本務で忙しく、雇用日数が予定よりも少なくなったため。 また、関西地方への調査に関しても、時間がとれず、また相手方との日程調整がうまくいかず、遂行できなかったことにより、旅費が使えなかったため。 今後の計画としては、効率よくデータ整理をするために、研究補助者を雇用するための人件費として使いたい。また、調査予定であったにも拘わらずできなかった、関西方面での調査、東アジア、例えば韓国の国立博物館などでの作品調査も行いたい。そのための旅費として使用する予定である。また、史料調査も遅れているため、国会図書館や全国の図書館から複写を取り寄せたり、必要な図書の購入も行いたい。また海外の美術館から画質のよい作品の画像購入も行い、調査できなかった作品については、それをもって補いたい。 なお、現在使用しているPCの画像処理能力が落ちてきたため、さらにスペックのよいメモリの増設、あるいは高スペックのPCの購入も検討したい。
|