研究課題
1)作品調査(6件)①東京・増上寺蔵『釈氏源流』、②早稲田大学図書館蔵『釈氏源流』、③滋賀県聖衆来迎寺の聖教・障壁画、④智積院蔵「一の谷合戦図屏風」、⑤仁和寺蔵「保元・平治合戦図屏風」、⑥日本大学総合学術情報センター蔵「魔仏一如絵」、⑦海の見える杜美術館「平家物語絵展」(展示調査)。以上の機会に撮影した高精細画像の整理や文字資料の翻刻を行った。これらの作品調査を通じて、高精細画像を蓄積することができた。特に平家物語絵に関連しての調査・研究成果を 2022年5月に中世文学会大会にて口頭発表(予定)、また、はつかいち文化ホールにて一般向けの講演として公開した(2022年5月4日)。2)シンポジウム/研究会の主催・共催(3件)①2022年2月5日早稲田大学高等研究所主催「人新世と人文学」第2回セミナーをオーガナイズした。講演者:鴈野佳世子(獨協大学国際教養学部・特任准教授)、論題:「古典絵画の基盤―技法材料、流通、使用」。大学院生や一般の聴衆にも議論を開くことで、中世絵画から得られる古典知を議論し共有する場を構築することができた。②2022年3月19日仏教文学会2020年度12月例会(2022年3月に開催)シンポジウム「六道語りの中世」、発表者:山本聡美・阿部美香(昭和女子大学・講師)・阿部泰郎(龍谷大学・教授)。文学研究者と協力し、聖衆来迎寺蔵「六道絵」(13 世紀後半)の制作と使用環境を検討した。中世初頭に成立した仏教説話画に表徴された時代相を、図像分析に加え、関連する唱導資料や文学作品、作品を取り巻く人的ネットワークから検討し、特に天台座主慈円における浄土往生思想・実践と、本作との結びつきを明らかにすることができた。③早稲田大学内で『釈氏源流』輪読研究会を継続中。
2: おおむね順調に進展している
作品調査を順調に蓄積できており、この間に撮影した高精細画像の整理も進捗している。今後の論点を開拓するためのシンポジウムや研究会を企画・運営することができており、本研究課題によって得られた学術情報の活用や共有の機会を複数持つことができた。また次年度以降に継続する研究会やセミナーを立ち上げ、安定的な研究遂行の基盤を整備できた。
1)作品調査・撮影を基礎に、その分析に注力する。特に、未着手であるモチーフの描き起こしを進展させる必要がある。2)シンポジウムや研究会を通じた成果を論文や書籍として公開する。3)研究代表者がかかわる他の科研や研究プロジェクト、また展覧会等とも連携し、本研究課題で得た新たな論点や学術情報に、学際的広がりを持たせることを目指す。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
学燈
巻: 118-4 ページ: 10-13
宗教研究
巻: 95-2 ページ: 121-144
ユリイカ
巻: 53-4 ページ: 123-131