前年度に引き続き、当初の計画に沿って、以下の2テーマについて調査・分析を進めた。 (1)東京国立博物館、徳川美術館をはじめ国内で所蔵される中国製鎗金器を実見にて調査し、各作品の詳細なデータ、各文様や技法の特徴を収集した。 (2)沖縄県立博物館・美術館、久米島博物館、浦添市美術館などにおいて、琉球製沈金器を実見にて調査し、各作品の詳細なデータ、各文様や技法の特徴を収集した。また、琉球最古の沈金の作品として知られる「緑塗鳳凰雲沈金丸櫃」(沖縄県指定文化財、個人蔵)をはじめ、丸櫃4例のCT調査を実施し、同様の形状であってもその木地構造はかなり多様であることを確認することができた。 2023年度においても、前年度に引き続き作品調査を進める。とくに文様や鎗金技法の特徴のみではなく、形体や構造の体系的な把握にも努めることとする。また、調査の過程で得た関連作品のリストアップや、史料の入手、分析なども合わせて進める予定である。
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