研究課題/領域番号 |
21K00174
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研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
足立 元 二松學舍大學, 文学部, 講師 (40532487)
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研究分担者 |
中嶋 泉 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (30737094)
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70453214)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 美術 / オーラル・ヒストリー |
研究実績の概要 |
2021年度、主な調査として、奥野恵氏へのインタビューを実施した。大地の芸術祭などを運営するアートフロント・ギャラリーの代表取締役社長であり、同社のフロントマンである北川フラム氏を長年にわたって支えてきた人物である。北川へのインタビューや彼の執筆は多いが、奥野へのインタビューはわずか1件しかない。奥野からの視点によって、これまで語られることのなかった同社の設立から現在に至る歴史が明らかになるのではないかと仮説を立てて、インタビューを行った。具体的な成果としては、1970年の東京芸術大学における学生運動について、かなりの部分が明らかになった。これまで美術大学の学生運動としては多摩美術大学の美共闘ばかりが知られていたが、芸大においてはそれとは別種の闘争が行われていた。たとえば各専攻ごとに、学生ひとりひとりが宣言を出し、そしてアジビラを作っていたこと。さらに、学長選挙に学生たちが意義を唱え、学長室の物理的な封鎖を建築科の学生たちの指導により行っていたことなどである。今では有名な美術家・建築家も含まれる。そして、その運動が潰えたのちに、学生のまま作った企業体・ゆりあぺむぺる工房が、アートフロント・ギャラリーの前身となった。ゆりあぺむぺる工房の頃から、生活にアートを持ち込む実践をさまざまなかたちで行っていた。そして、その意志がやがてバブルの頃を経て、パブリックアートの時代に花開いて、そして大地の芸術祭へと至る。その過程は、今日の日本の現代美術史における、これまで語られなかった、重要な部分にほかならない。 そのほか、大阪でもインタビューを行った。コロナ禍により見合わせた調査もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により、インタビューを見合わせたことがあった。だが、翌年度に計画をしなおしたこと、オーラル・ヒストリーに付随する資料の新発見とその整理予定ができたことことなど、計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きコロナ対策を行いながら、研究計画を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していたインタビュー調査がキャンセルになったため。翌年度に再設定した。
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