研究課題/領域番号 |
21K00180
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
林 則仁 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (20738215)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イスラーム美術史 / イスラーム絵画 |
研究実績の概要 |
当該年度における研究実績は主に以下の二点である。 一点目は、これまでに収集した写本絵画のデジタル画像から世俗性の表現の図像を抽出する作業を完了させることであり、二〇〇〇点以上あるデジタル画像を細かく分析して検証を行なった。申請時に三つのカテゴリーを設定していたが、そのうち、①天使像、悪霊については昨年度までに完了しており、今年度は②君主像、支配者像、③一般民衆について集中的な分析を実施した。とりわけ、③については四項目(戦士、旅人、廷臣、異境の人々)に限定していたものの、当初の想定を大幅に超える作業量となったため、かなりの時間をかけている。その結果、写本絵画における世俗性の表現を体系的に検証することが十分可能になった。これを踏まえて、次年度では研究の成果をまとめる段階に移行する。 二点目は、図像が装飾デザインとして用いられる写本以外の美術メディア(陶器、金属器、ガラス工芸、布織物など)の調査を行い、イスラームの図像文化全体における世俗性の表現の解明に取り組んだ。例えば、アメリカのシャングリライスラーム美術館にて収蔵品を調査したほか、国内外に所蔵されているイスラーム美術工芸品の資料収集を実施した。また、カタールのイスラーム美術館のキュレーターとして活躍する研究者を招聘してシンポジウム・講演会を開催し、当該研究課題の成果を共有するとともに、布織物に表現される図像について現在ドーハで開催されている展覧会の内容と合わせて情報提供を受けた。次年度は、カタールのイスラーム美術館と国際プロジェクトを立ち上げ、本研究課題の成果を特別展として開催する方向で調整を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に想定していた以上に画像分析と検証の作業が膨大なものとなっており、多くの時間を費やすことになっている。このことを理由に、当初の計画を多少見直す必要に迫られている。当該年度中に分析と検証を完了し、その成果を口頭発表と研究ノートで公表することを目指していたが、後者については当該年度中に完了することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度において、これまでに収集した写本絵画のデジタル画像から世俗性の表現の図像を抽出する作業を完了させることに一定の目処がついたため、次年度は当該年度に完了するはずであった検証結果を公表する作業にまずは注力する。次に、本研究課題の全体的な研究成果をまとめる作業に取り掛かる。次年度中に全ての作業を完了することができる可能性は高くはないが、早急に完了することを目指して研究を推進していく。また、カタールのイスラーム美術館と共同で国際プロジェクトを立ち上げるため、本研究課題の研究成果を特別展に反映させるための準備に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時には、データの分析・検証の成果を公表・発表するため国際学会、国際会議への参加を想定しており、海外の収蔵品の調査も同時に実施する予定であったが、データ分析・検証に多くの時間をかけることになったため、旅費およびデジタル画像の購入として当該年度に予算を使うことを断念し、次年度に持ち越すこととなった。研究はやや遅れているが、計画どおりのプロセスで進行しているため、次年度には問題なく使用できると想定している。
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