研究課題/領域番号 |
21K00188
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 信良 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (50301099)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ベルギー / 教育制度 / 文化政策 / 舞台芸術 |
研究実績の概要 |
本研究は、多民族主義を実践しているベルギー舞台芸術が日本の舞台芸術の今後のモデル・ケースのひとつとなると考え、ベルギー舞台芸術における教育と文化政策の連携方法に焦点を絞り、その具体的内容を調査、考察するものである。 調査は、まずベルギー舞台芸術の教育拡充の過去と現在を外観し、拡充された教育機関の現状を明らかにする。そのうえで、文化政策と教育の連携方法を考察する。それによって、舞台芸術の発展に寄与してきた教育の役割を再考するとともに、ワロン地域とフランデレン地域だけではなく、国家としてのベルギーの特徴ともいえる「総合性」(ジャンルの融合)、および「越境性」(国と地域の越境)を舞台芸術がいかに実現しているのかを詳らかにする。そして、公的教育機関における舞台芸術教育と劇団との連携体制を調査し、データ・ベース化することによって、ベルギー舞台芸術の全体的動向を把握し、世界の舞台芸術におけるその位置と将来の展望、日本における舞台芸術教育の具体的な参考例とすることを目的としたものである。 教育については、俳優養成、制作者養成(演出家、ドラマトゥルク、舞台装置家、照明担当、音響担当)の区別のもとに、各機関の具体的教育方法を調査する。文化政策については、地域ごとの自治体およびベルギー政府の芸術活動への協力状況を調査する。そのうえで、多言語社会における集団創作活動の意義を詳らかにし、国際社会における芸術の意義を再考する。 以上の計画のもと、令和3年度は、複数の劇団に聴取することができ、コロナ禍での教育方法やフェスティヴァルの実施方法など、貴重な情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、現在の対面調査の難しさを考慮し、すべて遠隔会議のかたちで、ベルギーの舞台教育機関の現状を調査し、助成金は、書籍とDVD による最新資料収集およびデータ・ベース構築関連費用に充てる予定であった。遠隔会議は、クンステン・フェスティヴァル・デ・ザール、シャルルロワ・ダンス、ヤン・ファーブルと創作集団トゥルブレインと行うことができ、必要な情報を収集することができたが、国立舞台芸術・放送技術高等学院、舞台芸術会館 ラ・ベローヌからは文章での情報しか得られなかった。また、資料は、取次店や版元の事情により入手困難なものが多く、予定通りに収集することができなかった。その結果、公的機関と私的機関の連携方法、ワロン地域とフランデレン地域の交流状況に関する情報が不足していて、データ・ベース構築には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、ベルギーでの実地調査や遠隔会議の承諾が得られない場合を想定して、文章による回答を主要な教育機関に依頼する。具体的には、調査地域を3地域(ブリュッセル、リエージュ、アントウェルペ ン)に限定し、各機関における教育指導方法の特色を明らかにしたい。対象教育機関は、アントウェルペ ン王立コンセルヴァトワール、ヘント王立コンセルヴァトワー ル、王立演劇・映画・音響学 院(RITCS)、フランデレン演劇研究所(VTi)を予定している。現在、想定される調査 内容は、公的機関と私的機関の連携方法、フランデレンとワロン両地域における教育実践方法と交流状況である。また得られた情報は精査した うえで、内容確認が必要なオランダ語資料のみ専門家に翻訳を依頼し、データ・ベースの基本システムを構築する。その際、ホームページの基本設計を専門家に依頼する。 令和5年度は、文献、遠隔会議、実地調査で得られた資料に基づき、劇団運営方法、教育機関の実態(各種技能養成の実際)、文化政策の具体的 役割、舞台芸術関係者の労働条件や福利厚生の現状を精査する。とりわけ、コロナ禍での劇団運営や教育方法の変化に基づき、社会における舞台芸術のあり方について再考する。なお、研究成果は、ベルギー関連学会での発表、および報告書にまとめ、収集したデータは作成したホーム ページ上で公開し、最新情報の更新可能なシステム構築をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した資料購入については、絶版、あるいは日本での書店購入の不可などの問題が生じた。そこで、次年度にベルギーからの直販による資料確保を実施する。また、個人情報保護の観点から、データ・ベース構築専用のタブレットと記憶メモリーを購入し、個人情報を一元管理することとした。したがって、当該年度予算は、専用のタブレットと記憶メモリーの購入のみに割り当て、次年度に繰り越すことにした。なお、繰越金は、物品購入だけではなく、ホーム・ページ作成のための人件費にも割り当てる予定である。
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