研究課題/領域番号 |
21K00209
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松田 愛 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40722260)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 現代美術 / コンセプチュアル・アート / ソフィ・カル |
研究実績の概要 |
2021年度は、パリ国立近代美術館での個展カタログ(2003)や同時期の論文を中心に、基本的な先行研究を読み直し、関連作家の作品や関連する映像作品等の整理を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、出張を伴う現地での調査は断念したが、美学、美術史、現代美術等の基礎的な文献に加えて、ソーシャル・プラクティスやケアとアートに関する研究動向をおさえるべく、未入手の資料収集を進めた。個々の作品分析とあわせて、グローバルな現代美術史におけるソフィ・カルの位置付けを捉え直すべく、研究状況の整理を行い、次年度研究を推進するための準備を整えた。 具体的には、1950年代のレトリスト・インターナショナルと、その後に続くシチュアシオニスト・インターナショナルの資料を調査し、心理地理学的な都市の漂流や「状況の構築」など、SIの関心や活動が、カルの初期作品とどのように関連付けられ、制作手法として受け継がれていくのかについて、これらに関する先行研究を参照しながら考察を深めた。特に、まなざしに焦点をあてた作品〈盲目の人々〉(1986年)に関連する重要な作品として、初期の《眠る人々》(1979年)について、作品考察や当時の展覧会カタログの分析を進めた。 今後は、本作品の批評記事を収集し、分析するとともに、本作を基点にして、他のカルの作品との制作手法やテーマにおける繋がりを探っていきたいと考えている。本調査の成果は、2022年度に研究会で報告し、論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
美術史、現代美術等の関連文献を収集したが、出張を伴う現地での資料調査と作品調査は新型コロナウイルス感染拡大の影響により断念した。展覧会の実地調査と資料収集が不可欠であるため、次年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
まずは入手済みの基本的な文献を読み直し、引き続き先行研究を整理する。また、2022年にシカゴで予定されているソフィ・カルの展覧会等、まなざしをテーマとする近年の一連の作品を中心に調査を行う。あわせて研究会を開催し、これらの成果を発表していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、出張調査ができなかったことによる。状況が許し次第、調査を実施する。また、出張に必要となるノートパソコンの購入を見送ったため、次年度の調査に向けて準備する。
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