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2023 年度 実施状況報告書

戦時下の日本におけるドイツ映画の受容についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00211
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 佳樹  大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (90240134)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードドイツ映画 / 戦時日本映画 / 文化映画
研究実績の概要

引き続き、戦時中の映画雑誌からドイツ映画にかんする言説を拾い、日本映画へのその影響について考察した。レニ・リーフェンシュタールの『オリンピア』(1938)が、宣伝と評価の両面において、特権的な地位を与えられた背景についてさらに掘りさげた。その要因を探るうちに浮かびあがった「文化映画」という概念の重要さ(ドイツ語のKulturfilmの訳語であり、ドイツの伝統あるドキュメンタリーの一ジャンルだが、戦時中の日本において、アメリカ的な「劇映画」に対抗する概念としてもちあげられるようになったという経緯がある)については、1938年から40年にかけて刊行された雑誌「文化映画研究」(2021年復刻、ゆまに書房)を精読した。文化映画という概念は、国家プロパガンダと映画の本質をめぐる議論(虚構の物語を語るか、真実を写すは)の両面から問題とされていることがわかり、当時の映画文化におけるその独自の位置を知ることができた。
また、戦時日本で高い評価を受けていたドイツの映画監督カール・リッターの映画について、当時の日本での映画評と日本映画への影響の両面から考察した。カール・リッターの『最後の一兵まで』(1937)は、溝口健二、小津安二郎、内田吐夢、田坂具隆といった錚々たる顔ぶれの映画監督たちが1940年に『スタア』誌上で合評するなど、特別な扱いを受けていた。
また、「各国映像メディアにおける団地表象の比較研究」というシンポジウムのパネリストとして、東ドイツ映画における団地表象の特色について昨年度に発表した内容を、論文にまとめた。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

戦時中の日本映画におけるドイツ映画の影響についての研究を進めるうちに、「文化映画」という概念の重要さに気づくことになったが、研究を進めれば進めるほど、政治論と映画論が入り混じった一筋縄ではいかない問題であることが明らかになり、年度内にこのテーマで論文を仕上げるにはいたらなかった。

今後の研究の推進方策

さらに資料収集を続けつつ、今年度中には戦時日本映画における「文化映画」の概念とその位置づけ、ドイツ映画との関係について、論文のかたちにしたい。そのうえで、『オリンピア』の受容にかんして、「文化映画」と関連させつつ分析する。また、カール・リッターの戦争映画に対する当時の批評界の評価、および、戦時日本映画への影響について論文にまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

ほぼ予定どおりに支出したが、校務のため予定よりも出張が少なくなり、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] プラッテンバウが運ぶ夢 : 東ドイツの住宅政策とデーファ映画2023

    • 著者名/発表者名
      山本 佳樹
    • 雑誌名

      「文化」の解読(23)―文化とコミュニケーション(言語文化共同研究プロジェクト)

      巻: 2022 ページ: 43~53

    • DOI

      10.18910/91528

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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