研究課題/領域番号 |
21K00214
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
大西 秀紀 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 客員研究員 (60469111)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内外レコード / タイヘイレコード / SPレコード / 78rpm / シェラック / ディスコグラフィ / ニットーレコード |
研究実績の概要 |
SPレコードのディスコグラフィを作成するためには、レコード会社が発行した新譜案内である月報や総目録が必要であり、月報が揃っていればそのレーベルについての書誌的な調査はほぼ解決出来ると言っても過言ではない。ただこれらはレコード販売店の店頭で無償配布されたチラシやカタログのようなものであり、一般的な書籍とは異なり長期的に保存されにくい性質のものである。特に当該研究が調査対象とする内外レコードなどは会社設立からすでに100年近く経過しているため、それら資料の残存数は限られていると言わざるを得ず、古書目録やインターネットオークションなどにも情報を求め蒐集に尽力したが、当該年度については目立った成果は得られなかった。月報類、総目録等の蒐集については今後も注力したい。 当該年度は【現在までの進捗状況】でも触れるが、当初の予定を進めることはできなかった。ただ報告者手持ちの内外レコード総目録や月報のいくつかのデータ入力作業は進めつつある。内外レコード―タイヘイレコードは多種類・少量生産で知られていて、一回に発売される品数は同業他社に比べて非常に多い。またその内容は大衆的なものが多いとされている。現在入力作業を済ませたものはまだわずかだが、それでも書生節、江州音頭、映画説明、漫才、浪花節、俚謡、端唄、小唄、和洋合奏、流行唄等々、同レーベルに関するこれまでの言説を裏付ける内容が並んでいる。今後入力作業が進むにつれて、この傾向は一層明らかになると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「(3) やや送れている」の理由として、報告者が進めていた「ニットー、ナショナル、日蓄オリエント各社のディスコグラフィ作成」(基盤研究(C)、研究課題番号:17K02369、2017年4月1日~2021年3月31日)がコロナ禍の影響で国立図書館等の使用が思うに任せなかったことなどから補助事業期間を延長したため、本年度は研究活動が図らずも当該研究と並行することとなった。そのため調査に費やす時間が制限されたことが大きい。 もうひとつの理由として、当該研究の大きな情報源のひとつに「神戸又新日報」を考えていたが、実際に同紙の調査を始めたところ、「内外レコード」や「タイヘイレコード」の広告といった期待していた情報が得にくいことが判明した。そのため調査対象の変更を余儀なくされている。
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今後の研究の推進方策 |
まず新聞の調査対象を「神戸又新日報」から「大阪朝日新聞」「大阪毎日新聞」に変更する。雑誌は「音楽と蓄音機」に加え、過去の調査では対象外としていた洋楽系の「ディスク」「レコード」なども調査対象としたい。 またタイヘイレコードの月報についても、手許にあるものを中心に内外レコードと並行してデータ入力作業を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年にくらべれば当該年度はコロナウイルス感染への危機感はやや緩和された感があった が、それでも緊急事態宣言が発出された時期もあり、調査研究のために他府県へ移動するには躊躇するものがあった。そのため予定した旅費を消化しきれない面があった。 また今年度になってから共同研究者となった助成費研究があり、そちらでも若干の助成費支給があったため、それが当該研究での直接費使用額の減少にも繋がった。 次年度は今年度以上に活発に調査に出向きたい。
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