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2021 年度 実施状況報告書

イギリス中世・ルネサンス演劇の音楽機能分析のための新体系構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K00224
研究機関呉工業高等専門学校

研究代表者

冨村 憲貴  呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 准教授 (40595980)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードイギリス演劇 / 音楽 / シェイクスピア / 中世演劇 / エリザベス朝演劇
研究実績の概要

本研究では,イギリスの中世からエリザベス朝までの演劇作品において,音楽がどのように使用され,戯曲中でいかなる役割を果たしてきたかを分析するための,新たな枠組みを作ることを目指す。広範囲の時代にまたがる演劇作品の音楽使用の例を,一貫した基準で分類することで,演劇における音楽使用を通時的視点から考察し,その特徴を明確にすることを企図している。
初年度である2021年度は,先行研究の調査によって,本研究が対象とする期間の演劇における音楽使用を分析するための,種々のアプローチに関する情報を集めた。これと並行して,中世の道徳劇,奇蹟劇などについて,作品のテクストから音楽使用の例を収集し,各々の機能について分析を行った。また,本研究はテクストのみならずパフォーマンスと強く関わるため,対象とする作品の再現上演の実践を調査した。
これらの結果をもとに,これまでに構築した,シェイクスピアを中心としたエリザベス朝劇作家の作品における音楽機能の分類枠を基礎としながら,新たに収集した音楽使用の例をカテゴライズした。その過程で,中世の演劇作品では,これまでに分析したエリザベス朝の戯曲の音楽使用の類型とは異なるかたちで,音楽が用いられていることが示された。また,エリザベス朝の戯曲と共通する機能を持つ音楽の使用についても,文脈を細かく検討することによって,微細な違いが見られることがわかった。
以上の内容に基づき,調査した戯曲の音楽使用例が網羅できるように音楽使用の分類枠を改訂した。このことによって,分析を行った中世とエリザベス朝の劇作品における音楽使用の違いが,数量的に一覧できるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度内に実施する予定であった,中世の道徳劇,奇蹟劇などの作品からの音楽使用例の収集については,おおむね計画通りに進んだ。また,本課題の前段階で構築した音楽使用の分類方法は,分析を行った中世の劇作品においても,基本的な構造は適用できることがわかり,大規模な改訂を要する状況にないため,おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2022年度以降は,他の中世・チューダー朝演劇における音楽使用例の収集を進める。特に,インタールード作品の代表的なものをサンプリングし,それらの音楽使用について,これまでに組み上げた分類方法が適用可能かどうかを検討し,必要に応じて改訂する。あわせて,これらの時代における音楽史的な状況についても考察する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度予算の主たる使用計画は,図書を中心とする設備備品の購入を目的とするものだったが,当該年度の研究の大部分が,すでに所有していた文献を用いてのデータ収集と分析によって占められたため,支出額が予定を下回った。また,成果発表のための国内旅費については,データの収集と検討を進めた結果,さらに広範囲の作品の分析を行った上で分類枠を改訂し,その結果を発表することが妥当であると判断したため,今年度の支出は行わなかった。生じた次年度使用額は,2022年度に分析を行う予定のテクストおよび関連書籍等の購入と,現在計画している学会出張旅費に充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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