研究課題/領域番号 |
21K00226
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
竹田 恵子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30726899)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポストフェミニズム / 現代美術 / ジェンダー / 少女 / 第三波フェミニズム / 第四波フェミニズム / ジェンダー論争 |
研究実績の概要 |
日本の美術分野において「ポストフェミニズム」的状況とはどのようなものであったのか、展覧会図録や美術雑誌、書籍の言説分析を中心に明らかにした。竹田は「ポストフェミニズム」が次の3つの特徴によってまとめられると考える。①個人の選択や主体性が称揚されるが、それらが資本主義や国家と共謀しながら女性間の連帯よりも競争を激しくさせる。②(主に経済的に)成功し活躍する一部の女性の表象は増え、メディアにあふれるものの、そうではない女性の存在は無視され隠される③そして②の表象が増えることによりフェミニズムはすでに達成されたので必要ないという「空気」がうまれる。 結果、少なくとも1950年代以降、ポストフェミニズム言説は、美術分野において繰り返し現れることが判明した。さらに1980年代「超少女」から1990年代の「女の子写真」、2000年代まで断続的に現れる現代美術の「少女」のイメージは大変興味深い。 日本現代美術のポストフェミニズム的現象は「少女」のイメージに特徴づけられた、構造を無視した脱政治性としてあらわれている。さらに、それらは個人の能力に関連付けられフェミニズムを必要とするまでもなく、能力がありさえすれば女性であることは障害にならないとされた。ゆえにフェミニズムは「過剰」かつ「攻撃的」であるとみなされたという特徴が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で出張が禁止になっていた時期が長かったことにより、全国の大学におけるカリキュラム調査をほとんど進めることができなかった。 そ代替措置として資料調査を増やし、戦後からのポストフェミニズム言説を美術関連雑誌、展覧会記録や書籍により取り上げ分析を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実現が難しかった美術大学のカリキュラム調査を特に進めることとする。今後新型コロナ感染症の状況がどうなるか不透明であるが、出張ができなくなった場合は遠隔で行うことのできる資料調査に留める等、工夫が必要になると予測される。また、インタビュー調査についてはZoom等を用い対面以外で行う方法を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響により全国出張にほとんど行くことができなかったため、旅費が大幅に余ってしまった。次年度も感染症の影響がどのようなものになるか不透明だが、出張が許可されたら積極的に増やし、調査対象である国公立5美大のカリキュラム調査を行うこととする。
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