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2022 年度 実施状況報告書

シュトゥットガルトの美術工芸学校に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00231
研究機関長崎大学

研究代表者

針貝 綾  長崎大学, 教育学部, 教授 (70342425)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード美術工芸学校 / 美術工芸教育 / カリキュラム / ドイツ / シュトゥットガルト
研究実績の概要

令和4年度は,シュトゥットガルト美術工芸学校の1902/03年冬学期から1906年夏学期までの教育組織や教育内容,生徒数や教育の成果について検討を行い、その成果を論文としてまとめ、『長崎大学教育学部紀要』に投稿した。
同校の年次報告書を精査した所、同校の専門課程の生徒数は1903年夏学期まで家具工業クラスが最も多かったが,1903/04年冬学期以降,専門課程では図画教員クラスに最も多くの生徒を集めるようになったことが明らかになった。その生徒数の推移から,同校が1903/04年冬学期以降,家具工業従事者の養成を中心とした学校から図画教員の養成を重視する学校へと変化していく様子が読み取れる。
まず図画教員クラスの生徒数増加の要因としては,年次報告書における美術史教員オーバーアスパッハ博士の辞任に関する記述から、もともとシュトゥットガルト工科大学にもあった図画教員専門課程が、シュトゥットガルト美術工芸学校に統合され,生徒が移ったことが考えられる。
同校の図画教員養成重点化の要因としては,1903年11月9日に王立教会学校省令が発布されたことも影響していると考えられる。つまり,図画教員及び図画助教員のための国家公務員試験が行われることになったことにより,図画教員への関心が高まり,図画教員専門課程への進学者が増加したことが,同校の図画教員の養成重点化への転換を後押ししたのではないかということである。
また,筆者は1902年1月同校に附設された美術工芸教育実験工房への正規の生徒の入学要件として,「美術工芸学校か美術アカデミー,工科大学の建築部門での少なくとも2年間」学んでいる必要があったことを確認した。それにより,同校に附設された美術工芸教育実験工房が,美術工芸学校や美術アカデミー,工科大学の建築部門の上に位置づけられる,専門職大学院のような教育機関であったのではないかと考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では,2年目はシュトゥットガルト美術工芸学校の1900年頃から1941年に美術アカデミーと統合され、州立造形美術アカデミーとなるまでの沿革について、カリキュラムや教育組織などに関する資料を作成する予定であったが、資料を精査した結果、検討を要する内容が出てきたため、令和4年度は1902/03年冬学期から1906年夏学期までに絞って教育組織や教育内容,生徒数や教育の成果を検討した。
また、令和5年4月1日の所属変更に伴い、令和4年度後半の研究の進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

今年度前期は,1906年冬学期以降のシュトゥットガルトの美術工芸学校の同校の年次報告書を整理し,教育組織や教育内容,生徒数や教育の成果について精査したい。
1~2年目は新型コロナウイルス感染拡大により,国内でも調査できなかったため,今年度は国内調査も再開したい所だが,物価高騰のため国外での調査に関わる費用が予定額を大幅に超えると予想されるため,今年度の資料調査は,国外での調査に絞って実施したい。国外での資料調査は9月上旬に実施する。
後期は収集した資料の整理を行いながら,論文あるいは報告書の作成を行い,日本デザイン学会等の学会誌に論文の投稿を行う。

次年度使用額が生じた理由

昨年度までに、日本~ドイツ間の直行便がなくなったため、航空機チケット代が計画前の2倍となり、物価も高騰していることから、今年度予定している国外旅費が大幅に不足する事態が予想される。そこで、昨年度は国内調査を取りやめ、最低限必要な資料・物品の購入に留め、残額は今年度の国外旅費の不足分に充てることとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 1902~06年度シュトゥットガルト美術工芸学校の特色とカリキュラム ―教育システムの改革と図画教員養成2023

    • 著者名/発表者名
      針貝 綾
    • 雑誌名

      長崎大学教育学部紀要

      巻: 9 ページ: 151-165

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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