研究実績の概要 |
2023年度は本研究の最終年度であったため、これまでの研究成果をまとめ、研究成果を発表することに注力した。最も大きな実績は、『アートベース・リサーチの可能性―制作・研究・教育をつなぐ』という書籍を勁草書房から出版したことである。本書は、この3年間の研究成果を書籍化したもので、研究分担者である竹本悠大郞も執筆している。本書出版後、10月には執筆者全員が出席して合評会を行い、研究分担者である生井亮司と笠原広一も含めた3名にコメンテーターをお願いした。学会発表としては、日本ホリスティック教育/ケア学会の基調講演として小松が「アートベース・リサーチの可能性」を発表し、生井は「美術制作における区切りと生成」という個人研究発表と、ワークショップも実施した。小松の基調講演をもとにした論文は、2024年日本ホリスティック教育/ケア学会の学会誌に掲載予定である。9月には国際美術教育学会世界大会で、代表者、分担者全員で「Arts-Based Research and Citizenship Education」という学会発表を行った。また本研究からの新たな展開として、アートベース・リサーチの可能性を探るために、この考え方を提唱したE.アイスナーが教育研究に関する考えを論じたThe Enlightened Eye: Qualitative Inquiry and the Enhancement of Educational Research,Macmillan, 1991の翻訳に着手した。本課題の研究期間中に翻訳はほぼ終了し、2024年9月頃の出版を目指している。また、Patricia LeavyのHandbook of Arts-Based Research, Guilford Press, 2018のなかの2つの章を小松が翻訳し、これも2024年度の早い段階で出版される予定である。
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