研究課題/領域番号 |
21K00243
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東島 仁 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (80579326)
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研究分担者 |
和田濱 裕之 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00765513)
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (10466708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 患者市民参画 / 科学コミュニケーション / ELSI |
研究実績の概要 |
本研究は、研究者と患者・市民のコミュニケーションを通じて科学と社会、疾患当事者にとって妥当性の高い研究を産出する仕組みとして「研究への患者・市民参画(PPI)」に着目する。そして国内において、オンラインで円滑かつ効果的なPPIが機能し、持続する仕組みを、具体的な実践方法と検討すべきELSI面の課題から明確にすることを目指す。本年度は、(1)国内外のPPI活動及び周辺領域の活動や動向及び手法、特に英国や米国、欧州やオーストラリアにおけるオンラインPPI実施方法の情報収集を行った。手法に関してはウェブ上の教材を中心に収集した。(2)国内状況を照らし合わせた。その結果、国内でPPIや類する活動を実施する際に、オンラインであるかどうかにかかわらず、整理や対応が必要なELSI課題が存在すること、少なくとも、その一部については論点を整理したうえで広く利用可能な形で公開することが必要であるという結論に達した。そこで、(3)特に論点整理が必要とされる課題点として、利益相反と守秘義務等に着目して論点整理と支援資料作成を開始した。その他ELSI面の規範的分析を進めている。これらと合わせて、(4)再生医学/医療等をテーマとするオンラインでのPPI的な場の設計支援を複数回行い、オンラインでのPPI実施が適したテーマや手法の検討を行っている。なお(1)と(3)、(4)の一部は学会発表を行った。(3)と(4)で作成した資料はウェブ上に暫定的に公開し、次年度さらなる検討を進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本年度は、(1)PPIや類する活動が盛んな英国や米国、欧州を中心にPPIの実践手法や課題点、動向について、特にオンライン実施に注目した情報収集を行い、その結果を(2)国内状況と比較検討した。これらの結果を踏まえて、(3)オンラインに限らず、広く国内においてPPIを実施する上で、整理や対応が必要なELSI的課題として利益相反と守秘義務に着目し、論点整理に着手した。一部の内容については、PPI実践者が必要とするであろう資料作成に結び付け、公開中である。これらと並行して、(4)再生医学領域におけるPPI事例の蓄積と手法的な検討も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況の(1)と(2)は、特に欧州と英国における動きが当初の想定よりも激しいため、初年度で終了せずに継続的な調査・分析を進める。初年度に収集した内容については、より詳細な分析を行う予定である。合わせて、進捗状況の(3)で記載したELSI的課題の特定と論点整理、規範的分析は、次年度も継続して進める。合わせて、初年度に作成した研究者・患者/市民・PPI実践者向けの資料も実際に使用する人々の意見・視点を取り入れた検討を進め、内容のアップデートを行う予定である。(4)は、初年度の結果を踏まえて引き続き実践と検討を進める。(1)と(2)の分析結果によっては、再生医療以外に対象とする疾患の変更も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid19の影響で延期になった打ち合わせと調査があったので、次年度に実施する予定である。
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