研究課題/領域番号 |
21K00247
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
貴志 奈央子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (30535381)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 科学技術政策 |
研究実績の概要 |
今年度は、科学研究において使用されている幹細胞のトレンドとhESCに対する使用の規制の関係を明らかにするため、心臓の再生・治療に使用される幹細胞の研究について、データの収集と分析を行った。また、分析結果をworking paperとして取りまとめた。 使用したデータは、PubMedに登録されている論文から「心臓」および「幹細胞」に関連する研究を抽出した。具体的には、Medical Subject Heading term (MeSH term) にHeart/ ESC/iPSC/MSC/BMCが含まれている研究を抽出した。また、筆頭著者の所属している組織の所在に基づいて研究が行われた国を特定し、サンプルとなった論文を国別で分類した。そして、各国で選択される幹細胞に相違があるかどうかを明らかにするために、国別にサンプルの特性を整理した。 その結果、次のような特性が確認された。まず、米国・中国・ドイツ・日本の四カ国は、ESC・iPSC・MSC/BMCという三つの幹細胞研究のいずれにおいても論文数で上位四位以内に位置していた。ただし、各国において選択された幹細胞の傾向には相違が見られた。特に顕著であったのは、中国における研究ではMSCを選択した割合が高く、日本における研究ではiPSCを選択した割合が高かったことである。さらに、hESCの使用に制約がある国では、ESCの使用も大きくは伸びない可能性も示唆されたが、この点については、さらにデータを詳細に見ていくこと、および、実際に研究を手掛けた科学者を対象としたフィールド調査により政策的な動向が研究の対象とする幹細胞の選択に影響を与えていたかどうかを確認する作業が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた定量分析に使用するデータの収集と分析を完了し、分析結果をworking paperとして公表したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、Working paperとして取りまとめた研究の成果を国際学会で発表し、分析結果に対して客観的な指摘を得ることを目指す。そして、学会で得た指摘を反映させた論文をジャーナルに投稿する予定である。また、特定の幹細胞が選択された理由を明らかにするために、定性的なデータの収集・分析に向けた準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加のために提出したAbstractの査読料、および定性的調査に向けた質問票の英文校正の費用が来年度の支払いとなったため、次年度使用額が生じた。発生した次年度使用額は、査読料および英文校正費として使用する計画である。
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