日本の病院の長期入院の総合的縦断研究

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 21K00252
• 研究機関: 国際医療福祉大学
• 研究代表者: 加藤 尚子 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70294858)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 長期入院 / 病院の歴史 / 地域医療構想 / 平均在院日数

研究実績の概要

本研究は、在院日数の変遷を縦断的かつ総合的に分析し、日本の病院の長期入院の実態を把握することを目的とする。長期入院が顕著な病院群を対象として在院日数と病臥者数の年次推移を分析し、施策の動向と社会の認識の変化との関連性を検証するものである。
2022年度は、長期入院問題の根底にある日本の病院の特殊性を明らかにするために病院の実態把握分析と歴史分析を行った。
実態把握分析においては、地域医療構想における医療需要と供給のギャップを病院単位で分析した。医療施設調査・病院報告の個票データから、病院の投入と産出、患者の重症度、サービス提供形態などの指標を抽出し、クラスター分析によって病院群分類を検討した。
歴史分析においては、現在の病院に至った歴史的経緯を把握するために、病院の起源と、西洋と日本の病院の歴史について、文献史料を整理し検討した。そして両者の比較分析を行った。
実態把握分析については、研究成果をまとめて「ポストコロナ期における地域医療構想の展望」と題する論文にまとめ、近日中に学術誌に投稿する予定である。歴史的分析については、研究成果をまとめて書籍に編纂する予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

病院の実態把握分析と歴史分析は、想定外の多大な労力と作業を伴うものだった。まず資料の収集が難航し、その収集した膨大な資料の分析作業が完了していない。

今後の研究の推進方策

最終年度の研究総括に向けて、2022年度に取り組んだ病院の実態把握分析と歴史分析を早急に完了させる。そして、研究計画当初に掲げた研究テーマ①長期入院の定量分析と②施策動向の歴史的分析につなげる。①と②に関しては、各病院群に関する情報収集のために、行政関係者、医療施設経営者、医療福祉専門職他への、半構造化面接等のインタビュー調査を実施する。
研究テーマ③世論のテキストマイニング分析については、使用ソフトの性能を測りながら試行錯誤の段階にあるが、速やかに分析に着手する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において研究者同士の会合の一部をZOOM等のオンラインで実施したため、旅費が消化できなかった。また今年度は、データ分析と文献解析が中心となったため、研究補助者の謝金も低く抑えられた。
研究最終年に当たる次年度は、情報収集と編集取りまとめの会合・打ち合わせの出張が頻回になる。同じく、取りまとめの作業を行う研究補助者の謝金も多く発生する予定である。