• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

中世後期における百科全書的文芸の享受と武家故実の醸成との相関性に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00266
研究機関愛媛大学

研究代表者

小助川 元太  愛媛大学, 教育学部, 教授 (30353311)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード百科全書 / 武家故実 / 戦国時代
研究実績の概要

当該年度は、愛媛県の歴史研究団体である伊予史談会において、中世後期の地方の武士団に『太平記』がどのように享受されていたのかということをテーマとした「『予章記』と『太平記』」と題する研究発表を行った。また、ベルギーのゲント大学で開催されたEAJSの研究集会では、宇和島伊達家所蔵の源平合戦図屏風や今治市河野美術館所蔵の源平合戦図屏風の調査・分析をもとに、中世後期から近世初期にかけての武家による『平家物語』享受の一端を明らかにした「The pictorialization of Heike monogatari in Genpei battle screens」と題する研究発表を行った。また、本研究の対象作品の一つである『八幡愚童訓』とも関わる『説経才学抄』の注釈を8割まで終えることができた。さらに、『後素集』との関わりが深い『帝鑑図説』のテキストの翻刻作業を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学部長としての通常業務に加え、昨今の地方国立大学教員養成学部を取り巻く厳しい状況への対応に翻弄され、公務に時間を取られることが多く、当初考えていたほど研究が進まなかった。そのため、当該年度については、論文発表ができなかったが、そのような中でも国際学会を含む二つの学会等で研究発表を行い、注釈や翻刻等の基礎的な作業も継続的に行うことができた。

今後の研究の推進方策

『説経才学抄』の注釈を年度内に終える。また、美術史を専門とする研究者とともに、「帝鑑図と『帝鑑図説』」をテーマとした書籍を刊行予定であるため、その準備を進める。また『アイ嚢鈔』や『後素集』の電子化作業を継続して進めるとともに、東大本『アイ嚢鈔』の書写・享受に関わる調査を継続し、さらには、それらの中世後期百科全書的文芸における情報の収集・整理がどのような観点からなされていったのかというテーマでの研究を進める。また、23年度に学会等で発表した2本の研究発表については、まだ論文化していないため、できるだけ早く論文としてまとめたい。

次年度使用額が生じた理由

学部長という立場上、管理運営業務のために県外への調査に行くことがなかなかできず、前年度(令和4年度)よりは県外の学会への参加はできたものの、コロナ禍前のようには旅費に予算を使うことができなかった。また、基礎的な作業が中心となったため、当該年度に研究上必要となる書籍や資料等が、当初考えていたほどかからなかったこともあり、物品費についてもあまり使用することができなかった。次年度(令和6年度)は副学長という立場ではあるものの、学部長の任期は終了したため、当該年度よりは学会参加や調査に出る機会を増やすことができる見込みである。また、計画している『帝鑑図説』関係の調査や『アイ嚢鈔』の調査・研究に必要な資料や書籍も増える予定であるため、十分に予算執行が可能である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 『予章記』と『太平記』―河野通治(通盛)の動向を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      小助川元太
    • 学会等名
      伊予史談会4月例会
    • 招待講演
  • [学会発表] The pictorialization of Heike monogatari in Genpei battle screens2023

    • 著者名/発表者名
      小助川元太
    • 学会等名
      The 17th International Conference of the European Association for Japanese Studies

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi