研究課題/領域番号 |
21K00285
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
原田 信之 新見公立大学, 健康科学部, 教授 (60290508)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 祭事説明伝説 / シニュグ / ウンジャン / ミハチガツ / コソガナシ |
研究実績の概要 |
令和3年度は、鹿児島県の鹿児島市、沖永良部島、与論島、奄美大島で祭事説明伝説に関する実地調査・文献調査を行った。調査は、コロナ禍の合間をぬって、第1回令和3年10月14-17日鹿児島県立図書館、第2回11月4-7日鹿児島県沖永良部島、第3回11月11-15日鹿児島県与論島、第4回12月24-27日鹿児島県奄美大島の計4回行った(総計17日間。第2回は私費)。概要は以下のとおり。沖永良部島では「シニグ」(廃絶祭祀)の調査を行った。与論島では「シニュグ」、「ウンジャン」(廃絶祭祀)の調査を行った。与論島のシニュグは、以前はサークラと称される祭祀集団が25はあったというが、現在は10程度にまで減少し、祭事はかなり簡素化されてきている。与論島のウンジャンは、廃絶してから150年もの年月が経過しているため祭事名を聞いたことがない人がほとんどであったが、貴重な伝承を採集することができた。奄美大島各地で「ミハチガツ」(祖霊祭系)の調査を行った。ミハチガツは旧暦8月に奄美大島で行われる、アラセツ、シバサシ、ドンガの3行事をいい、ミハチガツではコソガナシを祀るとされる。龍郷町秋名ではミハチガツを行うが、コソガナシについては、屋敷の神、先祖の神など複数の伝承があった。しかし、龍郷町でもドンガがない所があった。瀬戸内町では、アラセツ、シバサシはあるがドンガがなく、ミハチガツという言葉もないこと、コソガナシはご先祖様、海で亡くなった人など複数の伝承があった。代表的な文献では、ミハチガツという用語が一般的に使用されているように記されているが、一部地域の用語を奄美全体にあてはめてきたらしいことがわかってきた。今後、ミハチガツ、コソガナシなどについては再検討する必要がある。鹿児島県立図書館・和泊町立図書館などで関連資料を調査研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題についての現在までの研究達成度区分は、(2)「おおむね順調に進展している。」である。交付申請時に記載した「研究目的」および「研究実施計画」では、令和3年度は、奄美諸島の奄美大島・沖永良部島・与論島、沖縄本島塩屋において祭事説明伝説に関する実地調査を行うこととしていた。令和3年度は、コロナ禍の合間をぬって、奄美諸島の奄美大島・沖永良部島・与論島で実地調査を行い、さらに鹿児島県立図書館・和泊町立図書館等で文献調査を行った。ただし、沖縄本島は新型コロナウイルス感染者が高止まりの状態が続いていたため、塩屋地区での調査は断念せざるをえなかった。その結果、本研究課題について、塩屋地区での調査以外はほぼ当初の計画通りに進展し成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題についての今後の研究推進方策は、交付申請時に記載した「研究実施計画」のとおりに研究を進めてゆく予定である。令和4年度は、沖縄本島各地および周辺離島の粟国島・渡名喜島・伊江島・津堅島などで祭事説明伝説に関する実地調査を行う。
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