研究課題/領域番号 |
21K00285
|
研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
原田 信之 新見公立大学, 健康科学部, 教授 (60290508)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 宮古諸島 / パーントゥ / サティパロウ / ンナフカ / サーダユークイ / ミャークヅツ |
研究実績の概要 |
令和5年度は、沖縄県の宮古諸島(宮古島・伊良部島・来間島・池間島)で祭事説明伝説に関する実地調査・文献調査を行った。調査は、第1回令和5年9月1-12日沖縄県宮古島・伊良部島、第2回令和5年9月21-26日沖縄県来間島・池間島の計2回行った(総計18日間)。概要は以下のとおり。宮古島平良島尻で「パーントゥ」(来訪神祭系)の調査を実施した。旧暦12月の悪霊を祓う行事で、泥で包まれた仮面神パーントゥ3体が人々に泥を付けてまわる。クバマ浜に仮面が流れ着いたのを集落の人が見付け、祭事が始まったと伝承されている。宮古島上野野原で「サティパロウ」(来訪神祭系)の調査を実施した。旧暦9月の祭事。悪霊を追い払い村人の健康と豊作を祈願する。野原地区では仮面神パーントゥが1体出現するが、パーントゥ出現の由来は伝承されていない。宮古島上野宮国で「ンナフカ」(来訪神祭系)の調査を実施した。旧暦9月・旧暦11月の祭事。『御嶽由来記』(1705成立)に龍宮のエイ姫来訪譚が祭事の起源と記されている。古老の神役から学んだ少数の神役経験者が魚女房譚のことを伝えていた(エイ伝承は消滅)。伊良部島伊良部佐和田で「サーダユークイ」(来訪神祭系)の調査を実施した。旧暦9月の祭事。嵩原御嶽の祭神は奄美諸島沖永良部島から来訪した大世之主(ウクユーノヌス)であったとされている。来間島下地来間で「ヤーマスウガン」(荒神祓祭系)の調査を実施した。旧暦8月の祭事。ヤーマスは「家増す」、ウガンは「願い」の意味で、子孫繁栄、五穀豊穣を祈願する。池間島平良池間・前里で「ミャークヅツ」(農耕儀礼祭系)の調査を実施した。旧暦9月に行われる。ミャークは「宮古」、ヅツは「節」の意味で、豊作感謝の祭事。池間の主が人頭税完納を祝して創始したという伝承がある。宮古島市立図書館などで関連資料を調査研究した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題についての現在までの研究達成度区分は、(2)「おおむね順調に進展している。」である。交付申請時に記載した「研究目的」および「研究実施計画」では、令和5年度は、宮古諸島において祭事説明伝説に関する実地調査を行うこととしていた。令和5年度は、計画通り、沖縄県宮古島市の宮古島、伊良部島、来間島、池間島で実地調査を行い、さらに宮古島市立図書館等で文献調査を行った。その結果、本研究課題について、ほぼ当初の計画通りに進展し成果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題についての今後の研究推進方策は、交付申請時に記載した「研究実施計画」のとおりに研究を進めてゆく予定である。令和6年度は、八重山諸島の与那国島、石垣島、波照間島、西表島、竹富島などで祭事説明伝説に関する実地調査を行う。
|