研究課題/領域番号 |
21K00289
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
大谷 節子 成城大学, 文芸学部, 教授 (90211797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 謡 / 京観世五軒家 / 香道 / 歌道 / 探題 / 林喜右衛門家 |
研究実績の概要 |
林喜右衛門家所蔵能楽資料の書誌調査及び撮影は、冊子体のものについてはほぼ終えることができた。撮影に時間のかかる一枚物、書翰、番組類を次年度に残すこととなったが、これらについては次年度内に調査撮影を行うことで、調査完了の目途を立てることができるものと思われる。 本年度は林喜右衛門家のみならず、謡の家々に伝わる能楽関係資料を用いて「謡文化の諸相」のテーマで研究会を持ち、林喜右衛門家と共に謡の家の一つであった浅野太左衛門家の八代当主栄足が「能楽」の語の提唱するに至った背景についての論「謡の礼楽思想―「正楽」か「淫楽」か―」をまとめ、その成果を『日本文学研究ジャーナル』28号(2023年12月刊)に掲載した。 また、「能の遊び」のテーマで行われた能楽フォーラム(能楽学会2024年度関西例会)において、林喜右衛門家所蔵の『謡歌探題』を紹介し、耳洗堂吉田愚子になるこの書物が、謡の初学者のために、既に歌道と香道の知識を身に付けていることを前提に考案された「遊び」であることに着目し、謡が近世において茶や香などの芸道と交差して享受されていた様相を示す例として、その具体的な遊び方について解読した。 さらに、謡の受容形態の一例として、謡の知識を用いて遊ぶ「謡双六」や「謡カルタ」の調査を行い、謡の知識を元にして描かれた戯画についての研究を進め、『能狂言戯画巻』についての考察を能楽学会の学会誌『能と狂言』21号に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は概ね順調に進んでいるが、一枚物、書翰、番組の類は、整理と年代の特定に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
林喜右衛門家の歴史を辿るために必要な資料についての撮影を完了させ、林喜右衛門家の資料の全点調査を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
軸物類を高精細画像で撮影するために選定した機材、PC類の調達ができなかったため、最終年度となる次年度に繰り越し、速やかにこれを進め、作業を完結させる予定である。
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