研究課題/領域番号 |
21K00292
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田渕 句美子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80222123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女房文学 / 源氏物語 / 阿仏の文 / 女房の職能 |
研究実績の概要 |
本研究は、宮廷女房達が有していた縦横なネットワークと女房としての職能とが、女房達の言談・語りの生成に、どのように連関し、どのように文学に展開され深化されてきたかを、時代縦断的、ジャンル横断的に考えるものである。女房文学、王朝文学として著名な作品だけではなく、文学とは見なされにくい資料も含めて、女房たちの情報・言説・言談の展開を可視化して検証し、このことが日本文学史にもたらしたもの、その結果としての作品形成の具体相を明らかにすることを目的としている。この研究目的のために、『源氏物語』、『阿仏の文』、そのほか説話・日記などの作品・資料を、広く横断的に分析・検証していくこととしている。 2023年度は本研究において最も重要な研究対象である『阿仏の文』と『源氏物語』についての論文を発表するとともに、『阿仏の文』の注釈書を刊行することができた。『阿仏の文』は阿仏尼による書簡体の資料であり、娘に向けた教訓書であるが、日記的でもあり、説話的でもあり、さまざまな要素を含む貴重な資料であり、当時の宮廷女房たちの実態や職能、意識、文化などを鮮やかに語るものである。この注釈書ははじめての本格的な注釈書であり、日本のみならず世界の研究者からの関心が高く、英語・イタリア語での翻訳も予定されている。世界における女房文学研究に大きな影響を与えると思われる。さらに、この『阿仏の文』を視座にして『源氏物語』を読み直すと、『源氏物語』が当時の女房たちの実態を驚くほどリアルに語るものであることが明らかになることを示した。 またこのほかにも本研究の研究成果を部分的に吸収している書籍と論文を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画にそって、本研究は順調に進展しており、重要な研究成果を最終年度を待たずに本年度に刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は女房ネットワークと職能という観点から、女房文学の生成と表現を新たに把握しなおすことを研究の基盤にしている。最終年度においては、これまでの研究成果をふまえた上で、物語と日記についてさらに研究を進め、研究の統括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
『阿仏の文』の注釈に向けた研究成果の整理作業の一部をアルバイトに依頼することや、資料調査のための研究出張を予定していたが、かなり専門的な作業になったため自分で整理を行ったことや、その結果として時間的な制約のために研究出張が行えなかったために、次年度使用額が生じた。次年度に同様の用途で使用することを予定している。
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