研究課題/領域番号 |
21K00297
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
盛田 帝子 (飯倉帝子) 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40531702)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 後桜町上皇 / 中宮欣子内親王 / 近世中後期堂上歌壇 / 宮廷女性歌人 / 女房 / 和歌教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世中後期宮廷歌壇の中で女性歌人の果たした役割を見据えつつ、堂上歌壇史の中での女性歌人の占める位置や役割、社会への影響などを、資料に基づき具体的に検討し、その文化史的意義を明らかにしながら、従来男性歌人の業績のみで叙述されてきた近世堂上歌壇史を書き換える基盤を構築することを目指している。 2021年度はコロナ禍のため、一次資料の閲覧・調査が思うように進まなかったが、宮内庁書陵部・宮内公文書館で収集した調査データ、国文学研究資料館から公開されている古典籍のデジタル資料を活用しながら、基礎資料としての「近世中後期堂上歌壇における女性歌人の官職等一覧表」の作成を進めた。この資料は、内親王、中宮をはじめとして、内女房、女院女房など宝暦八年~文久三年までに宮中に在籍した女性歌人の官位・職名・名・号・年齢・出自等を一次資料から一覧表にしたものであり、宮廷歌会資料と組み合わせることによって、堂上歌壇における女性歌人の活動時期や宮廷内でのグループを立体的に見渡せるようになる意義をもつ。 また、一方で、宮内庁書陵部所蔵『御会和歌留』(有栖-5081)・東山御文庫所蔵『女房御月次会作者目録』『光格天皇御詠草並作者目録』等から、宮廷歌会や光格天皇が主催した月次女房歌会に詠進した女性歌人の詠草の翻字を進めた。これらの中には、後桜町上皇、光格天皇の中宮欣子内親王の御歌も含まれ、宮廷において女性達が多くの歌を詠み、活動していたという実態が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度はコロナ禍のため、一次資料の閲覧・調査が思うように進まなかった。しかしながら、宮内庁書陵部・宮内公文書館で収集した調査データ、国文学研究資料館から公開されている古典籍のデジタル資料を活用しながら、基礎資料としての「近世中後期堂上歌壇における女性歌人の官職一覧表」の作成を進めた。また、宮内庁書陵部所蔵『御会和歌留』(有栖-5081)・東山御文庫所蔵『女房御月次会作者目録』『光格天皇御詠草並作者目録』等から、後桜町上皇・中宮欣子内親王はじめとする宮廷女性歌人の詠草の翻字を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の状況を見極めながら、積極的に一次資料の調査収集を行い、各研究機関のHPで公開されている一次資料の画像も活用しながら、現在作成中の「近世中後期堂上歌壇における女性歌人の官職等一覧表」および「近世中後期堂上女性歌人詠草集」の質量を充実させてゆく。この2点は、ゆくゆくはWEB公開することを念頭に作業を進める。 「近世中後期堂上歌壇における女性歌人の官職等一覧表」「近世中後期堂上女性歌人詠草集」の作成に加え、東山御文庫に所蔵される典籍・文書類や公家日記などを活用して、後桜町上皇、光格天皇、中宮欣子内親王、仁孝天皇を中心として形成されていた歌壇における女性歌人の活動の実態を究明するための作業を進める。具体的には、四人の事績と四人を中心とする文芸生成の場・人的ネットワークの形成の過程において、女性歌人たちがどのような活動をしていたのかを可能な限り明らかにし、成果報告としての学会発表や論文執筆を行う。 令和五年度に予定している学際的なシンポジウムの準備を行う。具体的には、オンラインを用いて文学・歴史学・女性学・教育学等の研究者との意見交換や討議の場を設ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、当初計画していた調査が十全に遂行できなかった。次年度は、研究調査機関の調査範囲を広げ、早めに調査機関への予約を願い出ることによって、本年度遅れた分の調査を完了し、成果物の刊行・WEB公開を行う。
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