研究課題/領域番号 |
21K00316
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
徳竹 由明 中京大学, 文学部, 教授 (30387609)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 対馬藩 / 文禄・慶長の役 / 対外戦争叙述 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2021年12月と2022年3月に、長崎歴史文化博物館にて山口文庫内の対馬・壹岐関連資料を中心とした資料調査を実施した。また勤務先の研究費ではあるが、同所には更に4回、山口文庫内の対馬・壹岐関連資料等の調査のため訪れた。詳細は【現在までの進捗状況】のところで述べるが、新型コロナ禍で文献調査は、残念ながら思うような進展を見ていない。しかし数点の文禄・慶長の役に関わる言説を掲載する資料を見出し得た。 研究の成果としては、上記の調査の結果をも基として、伝承文学研究会京都・名古屋合同例会2022年1月例会(1月29日〈土曜〉・オンライン〈ZOOM〉開催)にて、「対馬に於ける〈異国襲来〉言説の構造」という題目の発表を行った。私は今まで、対馬島内で編纂された文献に収載された神功皇后三韓出兵・蒙古襲来や応永の外寇・三浦の乱等の対外戦争叙述について積極的に研究を行ってきたが、そうした研究を踏まえたものであり、また対馬に伝わる文禄・慶長の役に関する言説を研究していく上で前提となる作業である。対馬島内で編纂された文献に伝わる対外戦争叙述は、近世の対馬藩が中国や朝鮮半島等海外の書籍を含めて厖大な島外の文献を蓄積していた土地柄に相応しく、総じて大枠を、かなり希少なものも含めた島外の文献によって構築し、細部を対馬独自の言説・伝承で膨らませていく傾向にあることを論じた。現在論文化している最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
やはり新型コロナ禍につきる。出張による文献調査が主体の研究課題であるが、主たる調査先の一つである長崎歴史文化博物館が、一回の調査を資料5点までとし連日の調査を禁止する等文献調査での入館に制限をかけている。また個人的には昨年の3月より喘息を患っており、調査出張の実行に慎重にならざるを得ない。なお喘息の症状は、一進一退といった感じである。 また仕方のないことではあるが、講義のオンライン配信・課題の設定等新型コロナ関連で欠席した学生たちへの対応にも、かなり時間を割かれている。
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今後の研究の推進方策 |
長崎歴史文化博物館と並ぶもう一つの文献調査先の対馬市厳原町の対馬博物館が、4月にようやく開館し、新型コロナ禍の状況にもよるが対馬での宗家文庫等の資料の調査が本格的に出来るようになる。自身の感染には十分に留意しつつ順調に調査を重ねていけば、順調に研究は推進できるはずである。とにかく新型コロナ禍がこれ以上長引いたり悪化したりしないよう願いたい。もし調査出張が困難な状況になれば、今までの調査で入手した情報で分かる範囲で研究を遂行し、論文を執筆していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍がなかなかおさまらず、また自身が2021年3月より喘息を患ったため、思うように文献調査のための出張が出来なかったことが次年度使用額が生じた最大の理由である。 今年度は、主要な文献調査先の対馬市厳原町の対馬博物館が4月に開館し、宗家文庫等の資料の調査が再開できることになったので、新型コロナの罹患には注意ししつつ積極的に文献調査に赴きたい。
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