研究課題/領域番号 |
21K00320
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研究機関 | 佐賀女子短期大学 |
研究代表者 |
長澤 雅春 佐賀女子短期大学, その他部局等, 教授 (00310920)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 朝鮮近代文学 / 日本語文学 / 転向 / プロレタリア文学 / 朝鮮教育 / 植民地政策 |
研究実績の概要 |
当該課題の基礎調査として、1930年代の朝鮮において刊行された各種文芸誌やプロレタリア誌、各種新聞から、詩小説といった創作作品を除いた文芸批評作品の題目を時系列にリスト化し、それを順次「朝鮮近代文芸批評作品リスト」(1-3)と題して『佐賀女子短期大学研究紀要』(2022-2023)に掲載している。1930年代前半期の朝鮮は文学とともにプロレタリア思想の営為も活発で、『農民』『第一線』『批判』『新段階』『彗星『前線』『新興』等のプロレタリア系文芸雑誌が刊行されている。そして新たに登場してきた現代的新女性の生き方を模索する『新女性』『新家庭』といった雑誌も発刊されるようになった。新女性の生き方への指南は、プロレタリア思想の方向性とともにするものにある。そしてこれらプロレタリア的文芸誌に展開される内容は、朝鮮近代文学の既成作家・既成文壇への批判を目的としている。これにたいして、『朝鮮日報』『中央日報』『中外新聞』等の各種新聞では既成作家と新しい思想的潮流の両者を紙上において論戦させることによって、朝鮮近代文学を隆盛させる役割を機能させている。新聞文芸欄の役割はきわめて多大だといっていいだろう。 1930年代の雑誌・新聞を主たる舞台として活性化させているのは、1928年の第4次共産党事件によって170名が検挙されたことから、プロレタリア活動の活路をジャーナルへ見出したことによるのだろう。この基礎調査の活字公表化は、本報告時点においては1930年1月分より始めて1933年12月分までであるが、2023年度には1930年代後半までの活字化を行っていく。朝鮮近代文学がプロレタリア思想とともに成熟していくのは、1930年代後半からだと思われる。西江大学・高麗大学図書館に蔵書されるデジタル原本ではそのあたりを伺うことができる。そして、朝鮮近代文学とプロレタリア思想の挫折はほぼ同時に生じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1920年代に生じ、また集団検挙されて壊滅的となった朝鮮プロレタリア運動の文学的側面を時系的に知るために1930年1月からの基礎調査を行ってきたが、大きな転機となるのは30年代後半であるが、まだ30年代半ばまでの調査途上となっているからである。
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今後の研究の推進方策 |
基礎調査として1930年代~1940年代解放までの文芸作品のリスト化を各種雑誌・新聞を対象に行っていく。これは本課題の採択期間内での活字化は困難であるが、1930年代後半期が本課題の主軸となることがこれまでの調査で判明してきた。朝鮮プロレタリア文学・運動の動向は日本におけるプロレタリア活動と連動しているため、日本側との同時性において朝鮮側動向を把握していきたい。それが顕著になるのはやはり1930年代後半に入ってからである。40年代には彼らは転向し、日本語・皇民化へと向かうことになる。朴英煕を主にその思想的転回をたどり、その転機となる外的要因内的要因を探り、崔載瑞など統制下の日本語文学の登場と日本文壇の関与について調査することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はまだ新型コロナ感染拡大のために韓国への入国が制限されていました。そのため、当該年度の韓国図書館への調査研究を行いませんでした。2022年度夏以降は、韓国政府による新型コロナ予防による入国制限が緩和されたため、2023年3月に韓国内図書館への資料調査を行うことができました。
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