研究課題/領域番号 |
21K00323
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
大野 圭介 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (30293278)
|
研究分担者 |
野田 雄史 長崎外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10325566)
矢田 尚子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10451494)
谷口 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40278437)
田宮 昌子 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (70316199)
田島 花野 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70757997)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 魏晋南北朝 / 楚辞 / 楚歌 / 屈原 / 遊行 / 九歌 / 騒体 |
研究実績の概要 |
本年度は研究代表者及び分担者の研究分担に従ってそれぞれ研究に着手し、2021年9月と2022年3月にオンラインで例会を開催して進捗状況や研究方針を確認した。各分担における進捗状況は下記の通り。 (1)楚歌形式歌謡:田島が中国語学の観点から、楚歌における押韻の様式や、漢代の押韻との違いを的確に分析するための方法を検討した。野田も『楚辞』と楚歌に関する既発表論文をベースに、音韻学の観点から楚歌形式歌謡の分析を準備している。また矢田は六朝期に離騒よりも九歌や九辯が楚歌として認識され、その評価が高まった理由についての分析を開始した。谷口も既発表論文「論劉向的《九歎》――西漢擬騒的帰結、東漢魏晋騒体賦的濫觴」(『中国楚辞学』第28輯、2021年)において、後漢には屈原と無関係な騒体賦が増える一方、九歌が「楚辞らしい辞」として残ったことについて論じたのを予備的研究と位置づけ、六朝期における九歌形式の展開についての検討を開始した。 (2)屈原イメージの受容と変容:田宮が『楚辞後語』収載作品の魏晋南北朝の部分について分析を開始した。また大野は2019年度中国屈原学会での発表「論王逸引《詩》」において、楚辞文芸は王逸『楚辞章句』で一旦完成し、その表現や精神が他の文学ジャンルに継承されていったことに言及したのを本研究の予備的研究と位置づけ、屈原イメージを初めとする『楚辞』の表現様式の六朝文学への影響について分析に着手した。 (3)遊行の描写:大野と矢田が『楚辞』における遊行に関する既発表論文をベースに、六朝文学における遊行の描写についての分析を準備している。 以上の研究は参加予定の国際学会の延期などコロナ禍による支障のため、研究成果として発表されるには至っていないが、2022年度に延期された中国屈原学会を始めとする学会での口頭発表や論文として成果を発表する準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者・分担者それぞれ研究方針を確認して準備は行っているものの、新型コロナの影響によって研究遂行に支障があり、口頭発表や論文等の研究成果を発表するに至っていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続いて各項目を分担して分析作業を進め、オンラインで連絡を保ちつつ作業進捗状況の確認を行い、必要に応じて方針の修正を図る。7月に延期された2021年中国屈原学会での成果発表を行うとともに、10月の日本中国学会開催時および3月に、作業の進捗状況確認を兼ねた研究会を開催し、次年度の国際学会での成果発表に向けての準備を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナの影響により旅費を使用することができなかったため。 (使用計画)図書購入費、文献複写費等に使用するほか、対面での国際学会への参加が可能になった場合はその旅費に充てる。
|