研究課題/領域番号 |
21K00338
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
市川 真理子 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (80142785)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 舞台道具 / 楽屋 / 椅子 / テーブル |
研究実績の概要 |
大別して、次の三つの営為から構成される研究を行った。1.劇テクストの調査・分析によるデータ収集、2.関連する諸研究の調査および研究、3.理論の構築、論考の作成。研究計画初年度に当たる本年度は、上記のうち、特に1と2に力点を置いたが、3も行うことができた。以下、それぞれについて順に記す。 1. 当時の演劇関係文書(現存する上演用台本等)や観劇の記録や舞台への言及を含む文書や作品、劇作品自体などを調査対象として、問題解明のための証拠や手掛かりとなる情報や例の発見に努めた。特に、劇テクストの調査においては、椅子やテーブル等の舞台道具自体やそれらを使う動作にも言及するト書きや台詞ないしは劇場で書き加えられた指示や注記などを収集した。 2. 近代初期イギリス演劇および関連諸分野の研究動向を常に把握しながら研究を進めていくために、テクスト理論、現存するマニュスクリプトの分析、当時の各劇団のレパートリー等に関する研究の調査を行い、きわめて有益な示唆を得た。また、現行版本の注釈などからも学ぶところが多かった。 3.こうした調査を行いながら、1620年代、1630年代の上演用台本に記された椅子やテーブルの搬入や設置に関するト書きに関して、楽屋正面壁の開口部の数やカーテンの使用方法との関連において、重要な発見があった。それらは劇団に所属する book-keeper が書き加えたものである。楽屋内部でのト書きの特殊性という観点から、現在、それらに関する論考を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次の2つの理由により、おおむね順調に進展していると考える。 1. 本年度は研究計画初年度に当たるので、主として、データの収集および関連する諸研究の調査を行う予定であったが、幸い、一つの問題について、理論の構築につながる重要な見解を得た。 2. しかし、依然としてパンデミックの影響で、British Library や Folger Shakespeare Library 等で現存するマニュスクリプト等を調査することができず、重要なテクストの事実を確認することができないものがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後も下記の3種類の調査研究を継続する。 (1)劇テクストの調査・分析によるデータ収集の継続:データの収集とその整理を続ける。テクストの事実こそが常に議論の出発点であるからである。可能な限り、オリジナルテクストに当たる。そのため、British Library, Huntington Library, Folger Shakespeare Library などの研究図書館での調査を行う。 (2)関連する諸研究の調査および研究の継続:近代初期イギリス演劇および関連諸分野の研究動向を常に把握しながら、研究を進めて行く。劇場研究、上演研究、劇団研究、書誌学等は当然ながら、劇作品の現行諸版本の調査も必要である。 (3)研究成果の発表:研究を健全に発展させ、最善の形で完成することができるようにするために、時折、研究計画の軌道の修正の必要があるか検討する。そのため、研究の一端をなす問題に関して論文を書き、雑誌に投稿したり学会発表を行ったりして、オリジナル・ステイジングや関連諸分野の研究者たちのリヴューを得ることができるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
British Library や Folger Shakespeare Library 等における調査や、国際学会への出席を予定していたが、パンデミックが長引き、渡航をすることができなかった。来年度、状況が好転すれば、そうした研究活動を行いたい。難しい場合は、資料の購入費として、有効に活用するつもりである。
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