本研究は、19世紀初期のイギリス・ロマン主義時代が、17世紀の科学革命から誕生する近代科学を中心に、生物学、生理学といった特定の学問分野に専門分化していく過渡期の時代であったことに着目し、イギリス・ロマン主義の詩が、l8世紀の博物誌や文芸共和国という、総合的、横断的に集積された知識の様態を継承した、諸学問の包括的知識を有した一つの学問領域であったことを明らかにするものである。そしてそうした学際的な知識を包含した詩は、最終的に美学的、社会的改革を標榜しており、イギリス・ロマン主義の詩が知識をどのように言葉で表現し、社会改革を目指したかを考察するものである。
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