研究課題/領域番号 |
21K00345
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
伊東 栄志郎 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70249241)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ジェイムズ・ジョイス / イエズス会 / 東アジア / 日本 / 中国 / オリエンタリズム / 布教活動 / (ポスト・)コロニアリズム |
研究実績の概要 |
本研究「イエズス会布教活動から紐解くジェイムズ・ジョイスの東方への旅」の主たる目的は、ジョイス作品におけるアジア関連の描写をイエズス会の布教活動の視点から考察することである。 2021年度は3つの国際学会(全てZOOM開催)で発表した。まず4月10日アメリカ比較文学学会(ACLA2021)で、"Journey to the East: The Jesuit Mission and James Joyce"という題目で発表、次いで6月16日国際ジェイムズ・ジョイス・シンポジウム"Omniscientific Joyce"で"Jesuit Omniscientific Orientalism from Vico to Joyce"を発表、さらに6月19日韓国ジェイムズ・ジョイス協会主催の東アジア・ジェイムズ・ジョイス学会で"Genetic Joyceastasian Studies: 'My conscience is fine as Chinese silk'"を発表した。 活字の形では、韓国ジョイス協会機関誌"James Joyce Journal"第27巻第2号に"'My Conscience is Fine as Chinese Silk':Genetic Joyceastasian Studies"が掲載されたほか、中国、英国そして日本から共著各1冊ずつ計3冊が出版された。すなわち、『跨文化研究(第10巻)』 (北京:社会科学文献出版社 2021)、"The Paris of Joyce & Beckett: A Tourist Guide: 'Ulysses' Centenary Supplement"(London:London Irish Literary Travel, 2022)、『百年目の「ユリシーズ」』(京都:松籟社 2022)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会発表3件こなし、韓国ジェイムズ・ジョイス協会機関誌に論文1点を掲載していただき、さらに共著ではあるが、中国、英国、日本で各1冊ずつ合計3冊、研究成果を発表出来たので、「おおむね順調に進展している」という進捗状況だと判断している。 コロナ禍ということで、口頭発表した国際学会及び司会を仰せつかった国内学会や参加した研究会等が今年度は全てZOOM開催であった。このことにより、当初の申請で計上していた学会参加費用、旅費等がほとんどかからなかったため、科研費からの支出は今年度必要とした研究書籍購入費等だけであった。しかしながら、次年度以降はコロナ禍も少しずつ落ち着き、申請時に記した研究計画に沿った支出が出てくるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年2022年は、ジェイムズ・ジョイスを研究している者たちにとって重要な年である。代表作『ユリシーズ』(1922)がパリのシェイクスピア・アンド・カンパニー書店から刊行されて百周年ということで、世界中で様々な催しが開催されている。日本でもこれまで2種類の記念論集(その一つが拙論が掲載されている『百年目の「ユリシーズ」』)が出版され、日本ジェイムズ・ジョイス協会記念大会のほか、長期に渡るZOOMイベントがいくつか開催されている。本年度はその流れに乗る形で研究活動をしていく予定である。6月にはアイルランドのダブリンで開催される国際ジェイムズ・ジョイス・シンポジウム("James Joyce: 'Ulysses' 1922-2022": XXVIII International James Joyce Symposium)で発表する予定である。また、ブラジルの"Cadernos de Traduzao"という学術雑誌がジョイスと翻訳についての特集号を計画しており、原稿を依頼されている。2022年という記念すべき年に、自分に与えられている機会を活かしつつ、本研究にどのようにつなげていくのかが当面の課題となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により世界的に学術イベントのZOOM開催が普及したため、予定していた学会参加費用、研究会参加費用が大幅に節約出来、このように科研費の残額が生じた。次年度もコロナ禍がまだ続くと予想されるため、出張費用は当初計画からかなり少なくなると見込まれるが、本研究に必要な書籍や備品を順次購入していくので、本年度のような残額は生じない予定である。
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