研究実績の概要 |
ベルギーのルーヴェン・カトリック大学主催でZoom開催されたWorld Literature and the Minor: Figuration, Circulation, Translationにて、"'Here's what you tell me': Worlding of Refugee Experiences in A Country of Refuge and Refugee Tales"を発表した。これは、ハンナ・アーレントの「世界」の概念を用いて、A Country of Refugeや現在四巻まで刊行されているRefugee Talesのシリーズが創り出す「世界」を論じたものである。日本での難民文学研究は充分とは言えず、学会では有益な知見を得られた。 ラウトリッジ社から2022年中に出版予定の論文集Fear, Crisis and Anxiety in Europe: A Multidisciplinary Approach(Carmen Zamorano Llena, Jonas Stier, Billy Gray編)に、"Virtual Terrorists, Virtual Anxiety: Affect and Technology in Kamila Shamsie's Home Fire"を寄稿した。これは、カーミラ・シャムシーの『ホーム・ファイアー』をSNS使用と情動という側面から論じたものである。掲載が決定し、現在校正中である。 論文集Wars, Wounds and Words: Narratives of Trauma in South Asian Literatureに、編者Goutam Karmakar(バラバザー・ビクラム・チュードゥー・メモリアル大学)より投稿の依頼があり、"Kaboul mon Hiroshima: Trauma and Narration in Atiq Rahimi's The Patience Stone"を寄稿した。これは、アティク・ラヒーミーの『サンゲ・サブール──忍耐の石』を、一方で映画『二十四時間の情事』やキャシー・カルースによるその解釈の「書き直し」として、一方でアフガニスタンにおけるペルシャ語文学の伝統の継承者として読み直したものである。ラヒーミーは厳密に言えばイギリス文学ではないが、視野を広げることができた。
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