研究実績の概要 |
本研究は、第二次世界大戦以降のアメリカの女性文学をプリントカルチャーとアクティビズムという観点から分析する。戦後から冷戦終結によってアメリカを含めた世界情勢が劇的に変化すると同時に、メディアの在り方の転換点でもある1980年代に焦点をあて、モダニズム研究やジェンダー史研究など既存の先行研究とは異なる形で、戦後のアメリカ女性文学とプリントカルチャーおよびアクティビズムの関係を網羅する。そして人種横断的に考察することでこの時代の女性文学とプリントカルチャーを多角的かつ包括的に検証し直し、アメリカ文学史およびメディア史の中に再配置することが本研究の目的である。その上で戦後の女性作家と、メディアを多角的かつ戦略的に活用し創作を続ける現代のアメリカ女性作家との接点を探ることを目的とする。 令和3年度については,冷戦初期に活躍した作家に焦点をあてて研究を進めた。まず、令和3年5月に,サウンディングズ英語英米文学会第 73回研究発表会で開催されたシンポジウム「英米文学とスポーツ」(司 会・ 講師 :杉野健太郎(信州大学)講師:中村美帆子 (明治大学)、下楠昌哉 (同志社大学)、 平塚博子(日本大学))において,戦後のアメリカ文学とプリントメディア(スポーツ雑誌)との関係の一端について明らかにした。 さらに令和3年12月にはアメリカ大衆雑誌における女性警察官の表象を分析することで,アメリカのプリントメディアにおける人種,ジェンダー,階級について分析した。 また、現在,2022年出版予定の共著に向けて,アフリカ系アメリカ人女性作家ゾラ・ニール・ハース トンの代表作に関す る論文を執筆中である。
|