研究実績の概要 |
アイルランドでの資料収集:トリニティ・カレッジ・ダブリンの図書館、アイルランド国立図書館で資料収集を行った。 論文執筆に向けての作業:現代女性詩人エレーン・ニクリャナーン、ヌーラ・ニゴーノル、ポーラ・ミーハンについて調査と作品分析を進め、論文を執筆の準備を行った。それぞれの哲学的思考に迫るために重要な詩を丹念に読み込んだ。先行研究は多くないため、網羅的な収集と読解を進める一方で、これまで出版された3人の作品を徹底的に読み込み、それぞれの詩に現れる敷居、境界、中間地帯 (threshold, border, in-between), 裂け目(crack, gap, chasm) に注目し、そこで何が起こるのか、その背後に何があるのかを検討した。2024年出版のポーラ・ミーハンの最新詩集 The Solace of Artemisを一通り読み終え、精読すべき詩を選んだ。ミーハンの詩篇 ‘Old Biddy Talk’ の理解と分析のため、アイルランドの地母神信仰およびアイルランドの守護聖人でありかつ女神でもあるブリジットについて調査を進めた。詩人たちの散文やインタビューの再読・精読を進めたほか、ネット上で新たに視聴できるようになった講演や詩の朗読のサイトを活用し、書き起こし作業を行った。女性詩人たちによる古いアイルランド語詩の翻訳・翻案の試みに着目し、精読と原作との比較を行った。アイルランドのノーベル賞詩人W.B.イェイツの女性詩人たちへの影響を検討するため、現段階ではポーラ・ミーハンの作品への影響の分析に着手した。 成果の一部の公表:ポーラ・ミーハンの詩篇The Solace of Artemis を精読し、エコクリティシズムの視点からも注目すべき精巧な作品としての全体像を明らかにし、訳と評釈を『英文学評論』で公開した。
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