本研究においては、1100年頃にホノリウス・アウグストドゥネンシスがラテン語で著した『エルキダリウム』から13世紀前半に中世フランス語に翻訳された『リュシデール』の語彙を、パリのフランス国立図書館に所蔵されている13世紀中葉から14世紀初頭にフランス北東部とシャンパーニュ地方とリヨン地方で作成された写本4点の写真版と、2000年に Monika Turk が上梓した近代版とを比較しながら検討し、従来の語彙研究においては綿密な調査の対象になってこなかったこの作品がフランス語史と言語地理学の観点から重要な意義をもつ用例を含んでいることを明らかにした。
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