研究課題/領域番号 |
21K00415
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河島 思朗 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80734805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 西洋古典学 / ラテン文学 / ホラティウス / ウェルギリウス / オウィディウス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ラテン文学において「予言詩人」(ウァーテース)と呼ばれる特別な詩人とその作品を再考し、「予言詩人」の社会的な位置づけを解明することである。とりわけラテン文学黄金期の詩人たちを考察の対象として、その作品を社会的文脈のなかに位置付けながら、詩人の文化的役割を明らかにすることを主眼とする。 本年度はラテン文学を代表するホラティウス・ウェルギリウス・オウィディウスの作品について論点を絞りながら議論することで研究基盤を確立することを目指した。まず、三詩人の特質およびギリシア文学を継承するラテン文学の特質を明らかにするための分析をおこない、成果を学会において口頭で発表した(「西洋古典文学における夢」西洋古典学連携共同研究会)。また特にホラティウスにおける「予言詩人」という言葉の使用とその意図を明らかにするために、『カルミナ』の考察をおこなった。その成果の一端は学会で発表するとともに論文(「ホラティウス『カルミナ』1.1におけるプリアメル:lyricus vatesの視座」『西洋古典論集』26)として公表した。また文学および神話を社会的文脈のなかで再考する試みをおこなった。この観点について学会で発表(「詩人が織りなす世界:神々と感情と生き方」古代史研究会)した。 また本研究は学際的な性質を有するために、文学研究者のみならず、国内外の歴史学・宗教学・哲学などの研究者と意見交換を精力的におこない、有益な知見を得た。その他、広く一般に研究成果を還元するため一般書の刊行などに尽力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究はおおむね順調に進展した。ただし新型コロナウィルスの影響のため、予定していた外国での資料収集や実地調査をおこなうことができなかった。国外での作業ができないことに代わって、翌年度予定していた文献学的な研究を先取りしておこなうこととした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は予定している通り本年度の研究をさらに進展させるとともに、成果の公表にも力を注ぐ予定である。また国際情勢が許せば渡欧して研究をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナウィルス蔓延の影響のため、予定していた海外への調査に行くことができず、また学会や研究会がオンラインで開催されたため出張に行くことがなかったために次年度使用額が生じた。
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