研究課題
基盤研究(C)
本研究は、現代思想の重要なキーワードのひとつであるハビトゥス(習慣)概念が歴史的にどのように発展してきたかを通時的観点で考察する一方、それが特定の時代区分にどのような社会現象となって現れたかを共時的視点から解明することを目的とした。これによって、ハビトゥスが古代ギリシアのポリス形成時に始まり、13-14世紀ヨーロッパでの科学革命と大学教育改革、19世紀ドイツにおける市民社会形成期、そして現代社会にいたるまで「変化する時代の要請にこたえた社会思想」の役割を果たしてきたことが明らかになった。
German Studies
ハビトゥスが古代ギリシアから中世、近世を経て現代にいたるまで長い射程をもつ思想であることが再検証された。とりわけ19世紀の市民社会形成期の性モラルの変転をハビトゥス論の視点から解明できた功績は大きい。それに加え、現代におけるこの思想の代表者ピエール・ブルデューの最初期のハビトゥス論を日本で初めて紹介することで、本邦におけるハビトゥス研究に貢献できた。