研究課題/領域番号 |
21K00448
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関谷 一彦 関西学院大学, 法学部, 教授 (40288999)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 18世紀フランス文学 / リベルタン文学 / リベルタン版画 / Dom B***の物語 / 女哲学者テレーズ / サド / 政治的誹謗文書 / フランス革命 |
研究実績の概要 |
研究成果の具体的内容、意義、重要性
1)『カルトゥジオ会修道院の門番であるDom B***の物語』の翻訳を読み直しつつある。本書は、18世紀フランスのリベルタン文学のなかで、ベストセラーの一つであり、もっとも猥褻な内容を含んでいることから、リベルタン文学の原点といえる。プレイヤッド版でおよそ150ページある本書は、発禁本であることからわかるように、当時のキリスト教批判、とりわけキリスト教の性のモラルを痛烈に批判している。その表現は多くのコノテーションを含み、翻訳のむつかしさを示している。そこで全体を読み直して、曖昧な個所を整理した。
2)東京の日仏会館主催のシンポジウム「文学におけるフランス革命の表象」が9月25日(土)にオンラインで開催された。そのなかで、「シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』におけるマリー=アントワネット像――歴史小説とは何か――」という題目で発表した。その内容は、「文学作品に現れたフランス革命」(仮題)として白水社から出版されることが決まっている。今回のテーマである『王妃に別れをつげて』の「マリー=アントワネット像」は、18世紀後半の政治的誹謗文書をもとにして構想された作品であり、このなかで「二人の扉番の会話」が当時の誹謗中傷パンフレットをよく表している。多くのパンフレットがマリー=アントワネットの「性」を取り上げて攻撃しているところから、リベルタン文学を考える重要なテーマである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)『カルトゥジオ会修道院の門番であるDom B***の物語』の翻訳について、まだまだ曖昧な箇所が多く残されているが、最後まで訳し終えることができた。
2)「文学作品に現れたフランス革命」(仮題)として白水社から出版されることが決まっている原稿は、ほぼ完成している。
3)リベルタン文学およびリベルタン版画の資料収集に関しては、あまり進んでいないので今後の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
1)現在、リヨン第2大学に在外研究中でリヨンのUMR IHRIMの18世紀共同研究に参加している。そこで週に1回共同研究メンバーのREYNAUD氏を中心として、『カルトゥジオ会修道院の門番であるDom B***の物語』の読み合わせを行っている。約半年間の滞在中に、翻訳の見直し、修正を行う予定である。
2)フランス滞在を利用して、資料の収集を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりフランスへの渡航ができなかったので、旅費に次年度使用が生じた。この費用は翻訳の謝金や資料収集に充てる計画である。
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