研究課題/領域番号 |
21K00448
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関谷 一彦 関西学院大学, 法学部, 教授 (40288999)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 18世紀フランス文学 / リベルタン文学 / リベルタン版画 / ドン・B***の物語 / 女哲学者テレーズ / サド / フランス革命 |
研究実績の概要 |
1)2022年3月末から9月初めにかけてフランス・リヨンに滞在して『カルトゥジオ会修道院の門番であるドン・B***の物語』の翻訳に取り組んだ。REYNAUD氏と週に一度テクストの読み合わせをして、最後まで通読した。「研究実施計画」の重要な柱である本書の翻訳は、2023年度中に出版予定である。 2)リベルタン文学に関する資料の収集については、リヨンおよびパリで資料の収集を行った。とりわけフランス国立図書館のSalle Yで『カルトゥジオ会修道院の門番であるドン・B***の物語』の主要な版のテクストを通読し、挿絵については写真を撮ることができた。これらの重要な挿絵は、出版の際に利用する。 3)東京の日仏会館主催のシンポジウム「文学におけるフランス革命の表象」(2021年9月25日)に発表した「シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』におけるマリー=アントワネット像――歴史小説とは何か――」が論文集として白水社から『作家たちのフランス革命』(2022年7月)というタイトルで出版された。そのなかで「マリー=アントワネット像と歴史小説の魅力――シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』――」を執筆した。『王妃に別れをつげて』は1789年7月14日から16日のフランス革命が勃発した3日間のヴェルサイユ宮殿に焦点を当てた歴史小説であるが、本論文の中でマリー=アントワネット像に着目した。フランス革命を考えるうえで、マリー=アントワネットの役割は重要である。 4)事典『啓蒙思想の百科事典』(日本18世紀学会・啓蒙思想の百科事典編集委員会編、丸善出版)のなかで「リベルタン文学」の項目を担当、執筆した。本項目では、リベルタン文学を生み出す背景、主要作品、リベルタン文学の役割について解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)『カルトゥジオ会修道院の門番であるDom B***の物語』の翻訳について、曖昧な箇所がいくらか残されているが、最後まで訳し終えることができた。その曖昧な箇所は2023年8月のリヨン訪問でフランス人研究者たちの助けをえて解決し、2023年度末には完成、出版予定である。 2)2022年度のフランス滞在で、リベルタン文学の資料の収集を行い、フランス国立図書館で挿絵の写真を撮ることができたことは研究上大きな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
18世紀フランス文学の研究者で、リヨンのアカデミー会員であるREYNAUD氏の助力を得て『カルトゥジオ会修道院の門番であるDom B***の物語』の翻訳の完成を目指す。そのために8月にリヨンを訪れる予定である。最終的には関西学院大学出版会から2023年度中に出版予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度のフランスへの旅費や滞在費は本学の留学費を利用したために次年度使用が生じた。この費用は翻訳の謝金や出版費に充てる計画である。
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