研究課題/領域番号 |
21K00458
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
磯部 敦 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (00611097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 出版史 / 出版史料 / 史料論 / 郷土史 / 地方史 |
研究実績の概要 |
2021年度計画は、(1)「近代奈良県書物文化環境一覧」データの訂正増補と公開、(2)諸文献の購入と調査の2点であった。その進捗について以下に記す。 (1)「近代奈良県書物文化環境一覧」データの訂正増補と公開について、これまでの誤入力等を訂正し、また2021年度に入手・閲覧した諸史料を反映した最新版のテキストデータをResearchmap上で公開した(2022年4月30日付、後掲URL参照)。増補訂正版については、計画通りに進んでいる。 (2)諸文献の購入と調査について、計画では奈良県立図書情報館および大阪府立図書館へ訪問調査を実施し、岸宣美(御所)・高橋直吉(五條)の人物調査、および大阪書肆松村九兵衛の刊本調査から奈良との関連を探る予定であったが、コロナウィルス感染状況等により訪問調査を計画通りに進めることができていない。購入文献については、上記(1)に適宜反映した。 この(2)に関連して、かつて奈良市に所在し2021年10月をもって閉店した豊住書店の史料を閲覧する機会を得た。豊住書店は江戸後期に伊賀上野で書籍業を開始し、その後、津に分店を、大阪に支店を開設し、明治10年代には奈良でも営業を開始した歴史ある書店であるが、同店所蔵の板木や書籍雑誌類(新本、古本、貸本)、販促品、出版契約や営業に係る諸文書を閲覧することができた。これら諸史料に関する調査について豊住書店主の許可をいただき、すでに撮影と目録作成を進めている。豊住書店史料調査については上記(2)と関連する課題として、2022年度も引き続き撮影・調査を行っていく。 なお、奈良女子大学所蔵史料を用いた調査・研究として、「読むなの本-書物がそこにあること、あったこと-」を『書物学』19号(勉誠出板、2022年2月)誌上に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で図書館への訪問調査は出来ていないが、あらたに豊住書店史料の調査を開始した。奈良における書物文化、出版文化、読書文化を大阪や三重など近隣との関わりのなかで考察するという点で共通したテーマ性を持っており、図書館所蔵史料の訪問調査を補って余りある貴重な史料群である。 豊住書店史料については撮影と目録作成を始めており、順調に進んでいることから、上記のとおり「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
購入や閲覧等で入手した史料を反映した「近代奈良県書物文化環境一覧」の増訂版を作成し、年度末、もしくは次年度始め頃にResearchmap上に公開する。また、豊住書店史料についても引き続き撮影と目録づくりを行い、早急に検証のための土台を作る。各地図書館等への訪問調査は、コロナウィルス感染状況に鑑みて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入希望書籍が残高より高額であったため、無理に消費せず、次年度助成金とあわせて購入する。なお、2021年度はコロナウィルス感染状況に鑑みて出張調査を控えたが、2022年度は状況をふまえて出張調査を再開する。
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