研究課題/領域番号 |
21K00474
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
上保 敏 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (80553114)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 朝鮮語学 / 言語学 / 漢文訓読 / 加点 |
研究実績の概要 |
本研究は,朝鮮半島における漢文加点資料に対し,加点の状況を仔細に検討し,加点現象にはどのような特徴があるのか,なぜ加点が起こるのか,またそうした加点はどのような原理に基づいているのか等,加点現象の本質に迫ることができるような方向性を持ってその特徴を明らかにすることを目的とするものである。今年度は本研究の初年度にあたり,李朝時代の漢文加点資料に対する全体像を把握し,リスト化するところから始めるべく,資料を所蔵する諸機関,個人のもとに実際に赴き資料調査をすると同時に,写真撮影等を執り行い,研究環境を整備することから始め予定であった。しかし,新型コロナウィルス拡散による影響などにより,とりわけ韓国に渡航し資料の実地調査をすることがまったくできなかったため,やむを得ず研究計画を補正し,以下のように,現段階で可能なことがらから取り組むことにした。 1.李朝時代に施されたものと思われる漢文加点資料に対し,すでに利用可能な影印類・影照類を参照しつつ,その加点状況を調査した。 2.李朝時代に漢文読解,漢文学習がどのように行われていたのかについて記された史料類の記述を調査し,その様相を考察した。 3.今後の実地調査に備え,国内外の各処に所蔵されている朝鮮語漢文加点資料について,可能な範囲でリストアップした。今年度,実施できなかった実地調査については,次年度,状況が好転した段階で執り行う予定である。 なお,配分された研究経費の使途については,考察のためのコンピュータ,周辺機器,ソフトウェアの購入費,朝鮮語学,朝鮮語史に関する研究図書の購入費,および,朝鮮語漢文加点資料の影印類の購入費などに充てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は,李朝時代の漢文加点資料に対する全体像を把握し,リスト化するところから始めるべく,資料を所蔵する諸機関,個人のもとに実際に赴き資料調査をすると同時に,写真撮影等を執り行い,研究環境を整備することから始め予定であった。これらの資料は,韓国や日本などにおいて種々所蔵されていることが知られているが,その間,関心外に置かれていたため,その全体像はいまだ不分明であり,また資料の多くは影印出版が為されておらず,為されているとしても,毛筆で書き込まれた加点を影印でもって解読するのは困難であるためである。しかし,新型コロナウィルス拡散による影響などにより,とりわけ韓国に渡航し資料の実地調査をすることがまったくできなかったため,やむを得ず研究計画を補正し,現段階で可能なことがらから執り行ったものの,全体としては,大きく停滞せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,初年度~次年度前半に,①朝鮮半島における漢文加点資料に対する全体像の把握し,次年度に,②漢文加点資料に部分的に見られる訓読の痕跡を具体的に解明。漢文加点資料に対する調査,収集をもとに,それらの資料に現れる加点現象について具体的に分析・考察を加える予定であったが,上述のごとく,初年度に①を満足に行うことができず,やむを得ず,②を部分的に執り行ってきた。したがって,次年度,状況が好転した段階で①について集中的に執り行い,研究の遅れを取り戻す計画である。そのうえで,最終年度には,当初の計画通り,③漢文加点資料に見られる種々の加点の様相を具体的に解明してく段階へと進んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,資料の実地調査をすることがまったくできなかったため,出張のために計上していた旅費に残額が出た。次年度,状況が好転した段階で予算を執行し,これまで実施できなかった実地調査を行う予定である。
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