研究課題/領域番号 |
21K00490
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
後藤 リサ 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (00712100)
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研究分担者 |
鹿野 浩子 自治医科大学, 看護学部, 講師 (50806271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共感的コミュニケーション / エコー性 / 笑い / 質問-応答 / 医療談話分析 / 情動 |
研究実績の概要 |
令和4年度の主な研究活動内容は以下の通りである。 (1)昨年度より引き続き、自治医科大学看護過程演習のロールプレイング会話(倫理審査承認番号:自治医科大学臨大21-017、関西外国語大学2021-1)における看護学生と模擬患者の会話を言語資源とし、語用論的見地から共感的コミュニケーションの分析を行った。疑問文発話における「問いかけ」の機能的分類、および言語情報・非言語情報から観察され得る情動と問いかけの機能との関連付けを分析の主軸としているが、今年度はechoingやrepeating 等の言語現象に注目し、共感のプロセスにおけるそれらの機能についての分析結果を5月と10月の国際学会で口頭発表を行った 。 (2)2021年度に提供を受けたハワイ大医学部の1年生の授業におけるシミュレーション会話30セットの電子データ化を終え、上記(1)の日本語会話データと並行的に、共感的コミュニケーション視点からの分析を行った。分析対象となる質問-応答のインタラクション、および情動の発露となり得る言語・非言語表現をタイプ別にラベリングした上で、疑問文発話が本来有する「問いかけ」の機能を有するか否か、および様々な情動とそうした機能的分類との関連付けなどに関して、考察を行った。今年度は、観察し得る情動の中でも顕著にみられる「笑い」を分析の中心に据え、共感の構築における「笑い」の役割を明確にすることを目的とし、参与者たちの言語・非言語行為が「笑い」といかに関連づけられるかを主軸とした分析を進めた。これらの研究成果の公表は次年度に予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
会話のデータ収集先が医療系大学であるため、コロナ禍による影響もあり、倫理審査からデータ収集に至るまでの様々な変更を余儀なくされたという経緯がある。コロナ禍においてデータ収集を行う理由や、研究者が演習場面に立ち入ることによる被験者、および演習を担当する教員への感染リスクへの影響などが倫理審査において問われたこともその一つである。その結果として、データ収集の数は当初予定していた総数より少なくなり、データの種類も一部変更となったものの、これまでに入手した言語データを用いて本研究における分析の目的を果たすことが十分にできると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
既に収録を終えた日・英語の音声データの比較言語学的な分析を進める。すべての分類・分析作業を終えた後、研究成果を医療コミュニケーション関連の研究会や学会、および専門誌への投稿により随時公表すると共に、自治医科大での演習授業にその一部を還元すること等も含め、研究教育機関におけるコミュニケーション教育に役立てる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度より引き続き、成果発表のための国際学会がオンライン開催であったことから、次年度使用額が生じている。
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