研究課題/領域番号 |
21K00493
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
松尾 歩 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (20593578)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 第一言語習得 / 名詞優位 / ダウン症児 / 形バイアス |
研究実績の概要 |
本研究の研究目的は (i)実験的手法及び(ii)質問紙の両方からダウン症児の語彙獲得プロセスについて明らかにすることである。(i)実験的手法ではパペットを使用した選好注視法の動画を見せ、幼児が新奇語に形、あるいは材質のどちらの意味を付加するかを探る、シェイプバイアスを明らかにするものである。(ii)質問紙では、精神年齢を計算するためのKIDS乳幼児発達スケールタイプT及び言語発達レベルを測定するための日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を保護者に記入してもらい、月齢が同じである健常児とダウン症児の比較をするものである。令和5年度の研究計画は以下の通りである: (1)対象児及び協力校の募集、日時の調整(2)保護者、本人からの同意書収集(3)2種の質問紙の実施(4)パペットを使用した選好注視法の刺激動画の最終チェック (5)選好注視法の形バイアス実験の実施。(1)-(5)のうち年度末までに予定通り実行できたのが(1),(2),(3)で、特に(3)は関西、関東からデータを収集することができた。(4) については関西圏でダウン症児童を募集し、一度に多くのデータを取ることが可能な協力校を探すのに難航した結果、東京品川区の親の会に協力を依頼することになり、4月末品川で質問紙と選好注視法の新奇名詞実験をすることができた。7名の被験者のデータを収集した。よって、少し予定より進捗が遅れているが、関西圏でも(4)の調査を令和5年度後半に実行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の落ち着いた令和5年1月ごろから保育園や放課後デイサービス、親の会に対面で調査をすることが可能になったが、科研の申請時に計画していた内容と比べるとデータ収集が1年ほど遅れている。特に健常児の調査に協力してくれていた大規模保育園が病院に併設した保育園であったため、この保育園では今だに調査の許可が降りず、他の協力園を探すのに時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
関西圏のダウン症の親の会の協力を得て、令和5年度前半に(5)選好注視法の形バイアス実験の実施を計画している。ダウン症児童のデータ収集後は健常児からのデータ収集も予定している、これは以前に協力してもらった神戸市内の保育園から打診を始め、人数分のデータを収集することが不可能であった場合は新規の保育園にも打診する予定である。令和5年度後半よりダウン症児と健常児のデータ収集および分析開始まで進める計画をしており、アメリカの研究協力者(ネーグルズ教授)と共著の学会発表も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で保育園によっては第三者の入園を禁止しているところがあり、調査費用を予定通り使うことができなかった。
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