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2022 年度 実施状況報告書

名詞句及び複数形態素の解釈に関わる意味論・語用論研究―言語心理学研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00494
研究機関福岡大学

研究代表者

伊藤 益代  福岡大学, 人文学部, 教授 (10289514)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード複数形態素 / scalar implicature / 語用論的計算 / 演算子
研究実績の概要

複数形態素を含む文について日本語児がどのような解釈をするのかについては、英語児についてこれまで報告されている結果(Tieu et al. 2020ほか、また他の言語を母語とする子供についても同様の結果が報告されているRyans et al. 2018, 2020)と同様の結果が得られた。本年度は、日本語における特徴、つまり、複数形態素(たとえば、「たち」)を用いずに裸名詞句が複数名詞として用いられる点、また、複数名詞句についてその構成素に均一性が要求されているわけではない点が、日本語児による複数名詞句解釈に影響を与えているかどうかについても分析を加え、先行研究における結果についてさらに深く吟味をすることができた。具体的には、子供による複数名詞句解釈について、大人と異なる解釈につながる要因を特定をできたようである。そして、結果を学会発表につなげることができた。
同時に、複数形態素を含む文の解釈に関わることが想定される推意計算自体が難しいのかどうかを見極めるため、演算子が関わる文の解釈についての調査も行い、論文にまとめている。また、その過程で新たに生じた問題、つまり、法助動詞が関わる文については、推意計算が正しくできるのかどうかを見極める必要が生じたため、新たな調査を行った。結果、Free Choiceに関わる推意計算はできるものの、演算子を含む文の解釈計算に他者との語用論的比較計算がかかわる推意計算は難しいという結果が得られた。したがって、法助動詞が関わる文の解釈については、Tieu et al. 2020などの研究では論じられていなかった点について、さらなるデータを日本語や日本語児による解釈の点から提供することができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複数形態素を含む文についての、日本語児を対象とした調査については、5歳児、6歳児については大体データを収集できているが、4歳児については、さらなる参加人数を増やす必要がある。

今後の研究の推進方策

複数形態素を含む文について、日本語児がどのように解釈しているかについては、得られた結果について、仮説に基づいた説明以外の分析(generics)の可能性も排除できないため、刺激の絵に別の要因を入れることを考えている。
具体的には、別の種類の動物も組み込むことにより、日本語児が複数形態素を含む文についての複数推意の計算ができないのか、genericsや種類についての解釈が関わってきているのかを判別する調査を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

保育園などにおいて園児を対象とした調査を行うといったデータ収集が必要であるため、2021年度よりコロナ禍により調査不可となる期間が長かった。2022年度は前年度よりは緩和されたが、2021年度からの残額である。
2023年度は最終年度であるため、当初予定していた人数からのデータの収集に努める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Plurality Inferences: Some Insights from the Japanese2023

    • 著者名/発表者名
      Masuyo Ito
    • 雑誌名

      BUCLD 47

      巻: - ページ: -

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Plurality Inferences: Some Insights from the Japanese2022

    • 著者名/発表者名
      Masuyo Ito
    • 学会等名
      BUCLD
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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