研究課題/領域番号 |
21K00504
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
達富 洋二 佐賀大学, 教育学部, 教授 (40367983)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非対面型教室談話 / 非対面型コミュニケーション / 教室談話 / リモート授業 / 授業コミュニケーション |
研究実績の概要 |
2年次は,3つの課題,①小中学校の非対面型教室談話の事実を捉える,②非対面型教室談話への児童生徒の参加状況を明らかにする,③非対面型教室談話を創造的にする参加方略を明らかにする,に取り組む予定であった。 課題①は,1年次に引き続き,小中学校の非対面型教室談話の事実を捉えることに取り組んだ。非対面型コミュニケーションでの教室談話の事実を記録し言語データ化し,授業中の参加者全員が映った集約画面の談話記録(データA)のトランスクリプションと,個々の児童生徒による談話への参加状況の内観記録(データB)の収集と,データAとBを研究者と学校教員(授業者)が分析することで談話の事実を明らかにできた。 課題②も,1年次に引き続き,非対面型教室談話への児童生徒の参加状況を明らかにすることに取り組んだ。ただし,本課題のためには,児童生徒のグループでの活動が必要であるが,活動の制限があったため,計画通り進めることができないことがあった。例えば,グループごとに,参加者全員が映った集約画面を録画したモニターと各自の様子を録画したモニターを並べて配置し,自分自身のコミュニケーションの様子や他者のコミュニケーションの様子をモニタリングすることなどについては,限られた調査校においてのみの実施となった。 1年次の研究において,「○○しゃべります。」や「言っていいですか?」などの指標マーカーを付けることで,発話機会を獲得するとともに,他者に発話機会を与える配慮なども生まれることを明らかにした。2年次は,他の指標マーカーの存在,あるいは,コミュニケーションを継続することで新たな指標マーカーができあがっていくことを明らかにする予定であったが,そこには至らなかった。 課題③は,非対面型教室談話を創造的にする参加方略を明らかにすることであるが,これについても,活動の制限があったため,十分な調査を行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題②について: グループごとに,参加者全員が映った集約画面を録画したモニターと各自の様子を録画したモニターを並べて配置し,自分自身のコミュニケーションの様子や他者のコミュニケーションの様子をモニタリングすることにより,自分自身の授業中の参加状況及び全体の談話をどのように見ていたか,他の参加者をどのように感じていたかの談話時の内観の事実を明らかにする計画であったが,感染症による教室内での活動の制限(複数の児童生徒が近距離で対話することができない)があったため。 課題③について: 本来なら,小中学校の非対面型教室談話を創造的なものするためにはどのように参加することが必要かを明らかにすることを目的として,談話状況ごとに参加の方略を類型化するための研究に着手する計画であったが,上記の理由により,類型化のためのデータ採取が十分でなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は課題②の採取が十分でなかったため,課題③にも着手することができなかった。ただ,次年度(令和5年度)以降,課題③の調査,研究を進めるためにも,課題①及び②のデータ採取は十分ではなかったが,課題③の研究の方法を研究者と学校教員(授業者)とで共有するために,調査校を訪れ,複数回の模擬採取とデータ分析の研修を行った。 3年次は,2年次の計画を充実させるとともに,3年次の研究に着手する予定である。 なお,研究がやや遅れている原因として,1年次と同様,各学校におけるWi-Fi環境の整備が不十分であることや,端末にインストールされているアプリケーションの操作が難しいことも計画通りに進められなかったこともある。非対面型教室談話(非対面型コミュニケーション)の研究には,児童生徒にとって快適な通信環境,簡便なアプリケーション操作が調っていることが必要であるが,このことについては,調査校において対応をお願いしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:1年次および2年次に予定していた調査が実施できていないため。 使用計画:1年次および2年次の計画を見直し,当初の研究計画を完全に推敲することができるよう,物品の購入を調査研究のための旅費に充てることとする。また,より効果的な調査研究を行うことができるよう,調査校の見直しと,訪問する小学校および中学校の重点化を図り,調査の頻度を再考する。
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