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2022 年度 実施状況報告書

消滅寸前のヴァヌアツ未調査・無文字言語に残された数の記録の解明と解読

研究課題

研究課題/領域番号 21K00507
研究機関東北大学

研究代表者

内藤 真帆  東北大学, 文学研究科, 准教授 (00784505)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードヴァヌアツ / 消滅危機言語 / 数詞
研究実績の概要

南太平洋に位置するヴァヌアツ共和国は大小83の島々からなり、これらの島では100を超える現地語が話される。本研究はこれらの言語を対象とし、初年度はそのうちの一つであるツツバ語に焦点をあてて研究を行った。ツツバ語はツツバ島で話され、話者およそ500人、文字を持たない言語である。ツツバ語では、10台の数(11~19)がオセアニア祖語を反映した加算法の Undercountingで表されるのに対し、21以上の数は Overcountingで表される。これはオセアニア祖語を反映した形ではない。一体なぜ21以上の数にOvercountingが用いられるのかはこれまで不明であった。
初年度は、ツツバ社会において、数がどのような場面で用いられるのかを長期の参与観察で得た一次データにより考察した。この過程で、ツツバ社会では大きな数量は具体的な数ではなく、副詞「たくさん」や「かなりたくさん」などによって表されることが多い点に着目した。そのうえで、幾つかのごくわずかな場面では21以上の具体的な数が必要とされることを明らかにし、その場面が儀礼や結婚式であることを特定した。さらに、こうした場面において21以上の数がどのように、また何を用いて数え上げられるかを明らかにし、それらとOvercountingとの相関性を分析・考察した。そして儀礼の成功や人々の心理に、数がどのような役割を果たしてきたのかを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

過去の現地調査で得た一次データをもとに分析と考察を進めることができた。

今後の研究の推進方策

過去に調査したヴァヌアツ共和国のツツバ語以外の言語データをもとに数詞の研究を進める。また現地調査が可能になったときには、ヴァヌアツ共和国に渡航し、複数言語の調査を行う。

次年度使用額が生じた理由

3月に海外調査を予定していたが、現地の自然災害による被害が大きく、渡航が叶わなかったため。次年度は年に2度の調査(夏・春)を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ソテツの葉で具現化するツツバ語の数の概念とOvercountingへの改新2023

    • 著者名/発表者名
      内藤 真帆
    • 雑誌名

      『言語研究』

      巻: 163 ページ: 55~77

    • DOI

      10.11435/gengo.163.0_55

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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